世界史の中の長崎開港
交易と世界宗教から日本史を見直す
著:安野 眞幸
紙版
内容紹介
「バテレン追放令」でサントリー学芸賞を受賞した著者が、中世~近世の港市・長崎を中心とした交易世界を鮮やかに描き出す。
日本史では馴染みの薄いイスラーム世界を含めた「世界史」的視野に立ち、日本社会の歴史的な構造を捉えなおし、さらにはイスラム教、キリスト教、仏教(禅宗)の比較宗教論を含む意欲的論考。
本書で追究されるテーマ⇒なぜ中世日本は「冊封体制」の外に立てたのか、なぜ近世長崎では「唐人」は日本人と雑居していたのか、なぜイエズス会が南蛮貿易に関与したのか、なぜ宗教者・禅僧が貿易を担当できたのか。また、「世界」を席捲したイスラーム商人たちはなぜ日本に及ばなかったのか、ザビエルらはイスラームの東限をなぜ突破できたのか……その背景には、「肉の蘇り」を言うイスラム教に対し、「霊魂不滅」を信奉する日本とヨーロッパキリスト教に共通する精神的な土壌があった。
目次
序論▼イスラームと日本 Ⅰ港市
1章▼港市をめぐる諸問題
2章▼博多「唐坊」と蒙古襲来 Ⅱ 港市長崎への問い
3章▼「唐人」はなぜ長崎に雑居したのか?
4章▼イエズス会はなぜモマンに仕えたのか? Ⅲ 長崎開港
5章▼家船の陸上がり
6章▼長崎と唐人貿易 ほか