花乱社選書 3
葉山嘉樹・真実を語る文学
著:楜沢 健
編:三人の会
内容紹介
「馬鹿にはされるが真実を語るものがもっと多くなるといい」と時代に抗した福岡県みやこ町出身の作家葉山嘉樹(1894〜1945)。『セメント樽の中の手紙』『海に生くる人々』などで知られ、小林多喜二と並ぶプロレタリア作家。現代にも通じる社会的格差や貧困を見据えつつ、葉山は世界文学へとつながる独特で不思議な作品を紡ぎ出した。その魅力と現代性に焦点を当てた楜沢健講演「だから、葉山嘉樹」他、同時代の証言を含め、作家、評論家、研究者、ジャーナリストらが多様な視角から論じた作家論・作品論を集成。三人の会(堺利彦・葉山嘉樹・鶴田知也の三人の偉業を顕彰する会)が所蔵する関係資料を初公開。
目次
葉山嘉樹とわたし/佐木隆三 Ⅰ 葉山嘉樹と現代 1 だから、葉山嘉樹/楜沢 健 2 葉山嘉樹と故郷豊津/川本英紀 3 葉山嘉樹の一面/葉山民樹/■講演会「プロレタリア作家葉山嘉樹と現代」印象記/和田 崇 Ⅱ 葉山嘉樹・人と文学 1 葉山嘉樹の文学/前田角藏 2 働くこと闘うこと、そして命 葉山嘉樹の労働と文学/峯村康広 3 葉山嘉樹の魅力 Ⅱ/浅田 隆 4 葉山嘉樹 プロレタリア文学だけでは、くくれない/丹野達弥 5 「死」をめぐる邂逅 葉山嘉樹と萩原朔太郎/野本 聡 6 堺利彦農民労働学校のアドバイザー葉山嘉樹/小正路淑泰 7 「満洲開拓」と葉山嘉樹 アイデンティティー喪失と回復への旅立ち/鈴木章吾 Ⅲ 葉山嘉樹・回想とエッセイ 1 葉山嘉樹さん/鶴田知也 2 八景山 葉山嘉樹 故郷思い異国の土に/広野八郎 [付論]広野八郎のこと/大﨑哲人 3 葉山嘉樹 気骨のあるサムライ/小牧近江 4 恨みの一節/宮原敏勝 5 葉山嘉樹終焉の地・徳恵を訪ねて/垣上 齊 6 葉山嘉樹の転向問題について/塚本 領 7 三つの文学碑物語/古賀勇一 8 葉山嘉樹と里村欣三/大家眞悟 9 『葉山嘉樹への旅』と韓国/原 健一 10 葉山嘉樹と室蘭 文学碑建立とエピソード/西原羊一 11 葉山嘉樹・鶴田知也と現代/玉木研二