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リベルタス学術叢書 第11巻

リベルタス学術叢書 第11巻

人間の人格性と社会的コミットメント リベルタス学術叢書第11巻

著:ミヒャエル・クヴァンテ
編:後藤 弘志

紙版

内容紹介

本書は、自然と精神/文化、個人と社会とを媒介関係において捉えるヘーゲル流の重層的な人格概念に依拠して、ドイツの伝統的哲学と英米の分析哲学(なかでも生命医療倫理学)の架橋を試みるミヒャエル・クヴァンテの自選論文集である。〈世界の内なる人間のあり方:プラグマティスティックな観点から〉、〈人格の生の諸次元〉、〈学際的および異分野横断的コミットメントとしての哲学〉を主要テーマとし、近年クヴァンテが提唱する「プラグマティスティックな人間学」、人格の同一性および自律問題、医療倫理学的領域における他の学問分野との学際的・異分野横断的協働性、学問の枠を越えた社会の他の領域との協働性について有機的に論究する。日本においても喫緊の課題である大学の社会貢献についての格好の参考書にもなっている。

目次

第1章 魔術化された自然への回帰―構築的哲学なしで?:
    『心と世界』におけるマクダウェルの自然概念について
第2章 日常的世界観と科学的世界観:二つの観点の統一
第3章 愛のために何をなすか:
    フランクファートによる人格の自律についての分析の先に
第4章 実存的コミットメントと寛容:
    宗教哲学者としてのヒラリー・パトナムに問う
第5章 学際性と政策への助言―哲学への要請―
第6章 立体視的な見方? 生命科学、心の哲学および自然の概念
第7章 ウィリアム・ジェイムズの宗教的信念の正当性
第8章 関係における同一化:
    人間人格の評価的自己関係についてのコメント
第9章 生命科学における哲学の課題
第10章 行為の政治的文脈における哲学:合理性と世界観の狭間で
第11章 人間学の諸観点
第12章 批判的異議申し立てとしての哲学:
    ドイツ哲学・社会倫理学賞受賞記念講演(2014年1月29日ハンブルク)
第13章 自由と脳科学―誰が誰を脅かしているのか?―
第14章 原理的に容赦不可能?
第15章 哲学的知性:その軌跡を辿るエッセイ
第16章 「平和はまさしくもう一つの道」:平和概念の多義性について
 

著者略歴

著:ミヒャエル・クヴァンテ
Michael Quante(ミヒャエル・クヴァンテ)
1962年生まれ。ベルリン自由大学、ミュンスター大学で哲学を専攻。1992年にミュンス
ター大学で博士号取得、2001年に教授資格を取得。デュイスブルク=エッセン大学教授、
ケルン大学教授を経て、2009年からミュンスター大学教授。
ヘーゲルを中心としたドイツ観念論の研究のほか、生命医療倫理学の面でもドイツの研究をリードしている。
編:後藤 弘志
1961年生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。トリア大学(ドイツ)哲学博士。広島大学大学院人間社会科学研究科教授。
〈主要業績〉
『フッサール現象学の倫理学的解釈:習性概念を中心に』〔単著〕(ナカニシヤ出版、2011年)
Quante, Michael/Goto, Hiroshi/Rojek, Tim/Segawa, Shingo (Hrsg.)(2020 ): Der Begriff der Person in systematischer wie historischer Perspektive : Ein deutschjapanischer Dialog. Paderborn: Mentis、ミヒャエル・クヴァンテ著『ヘーゲルの行為概念』〔共訳〕(リベルタス出版、2011年)
ミヒャエル・クヴァンテ著『人格 応用倫理学の基礎概念』〔単訳〕(知泉書館、2013年)
ミヒャエル・クヴァンテ著『ドイツ医療倫理学の最前線:人格の生と人間の死』〔共訳〕(リベルタス出版、2014年)他

ISBN:9784905208129
出版社:リベルタス出版
判型:A5
ページ数:328ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QD