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メランコリーと建築

アルド・ロッシ

原案:ディオゴ・セイシャス・ロペス
訳:服部さおり
訳:佐伯達也

紙版

内容紹介

アルド・ロッシ研究の決定版 待望の翻訳本!
「ロッシの今日における詩性を見事に捉えた〈メランコリー〉という用語を、歴史を遡って探査する」ーーポルトガルの建築家ディオゴ・セイシャス・ロペス(1972-2016)による、ポストモダニズム以降の建築に新たな視点を投げかける建築論。〈メランコリー〉と建築の連関を通じて、20世紀でもっとも重要な建築家・建築理論家のひとりであるアルド・ロッシに再び光を当てる。
 本書は、著者がスイス連邦工科大学チューリッヒ校で執筆した博士論文をもとに、2015年に英語版が書籍化された。2019年にはポルトガル語版が刊行され、国際的な注目を集めており、なかでも建築史家ケネス・フランプトンは「我々のロッシに対する理解を変容させる、非常に繊細で洗練された研究」と評価している。
 ロッシのキャリアの全容を辿り、熱狂と幻滅の間を揺れ動く建築家としての生を、代表作「サン・カタルドの墓地」が表象する詩性のなかで描き出す。さらに作品に反響する参照の数々ーージョルジョ・デ・キリコの形而上学的な眼差し、アドルフ・ロースの文化的懐疑論、エティエンヌ=ルイ・ブレの高揚した合理主義、アルブレヒト・デューラーの視覚的迷宮ーーや、タイポロジーや類推による形態の生成過程を解き明かしていく。
「建築理論と実践を結びつける」という著者の言葉が示すように、現代の建築家にとっての手がかりとなる一冊である。

目次

●序論
今となっては失われた/不完全さについてのありふれた感情
●第一章 メランコリーと建築
近代性、不安、空間/崇高の美学/大都市と憂鬱/中心の喪失/鬱屈した建築
●第二章 アルド・ロッシの場合
戦後の時代/あるリアリズム教育/連続性か、危機か/選択としての建築/記憶としての建築/自伝としての建築/政治と詩学
●第三章 サン・カタルドの墓地
文化の徴し/設計競技の一次審査/設計競技の二次審査/計画と建設/死者たちの家/打ち捨てられた家/骨格の形/影の建築/メメント・モリ
●結論 
オプティミズムの建築?/文化と危機/結びにかえて同上

著者略歴

原案:ディオゴ・セイシャス・ロペス
Diogo Seixas Lopes(1972-2016)
1972年リスボンに生まれる。1996年にリスボン大学建築学科卒業、2013年にスイス連邦工科大学チューリッヒ校にて博士号取得。2006年にはBarbas Lopes Arquitectosを共同設立。代表作に「タリア劇場の改修」(2016)がある。カナダのカールトン大学(2013, 2015-2016)とポルトガルのコインブラ大学(2011-2013)にて客員教授を務めた。
訳:服部さおり
Schenk Hattoriパートナー。1991年神奈川生まれ。2014年に慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2016年に早稲田大学芸術学校卒業後、スイス連邦工科大学チューリッヒ校建築学専攻留学、Caruso St John Architects(チューリッヒ)でのインターンを経て、2019年に東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程を修了。現職に至る。
訳:佐伯達也
Gensler and Associates勤務。1989年愛知生まれ。2014年に京都造形芸術大学芸術学部通信教育部建築デザイン専攻卒業後、KU Leuven Campus Sint-Lucas Brussels交換留学、Barbas Lopes Arquitectosでのインターンを経て、2018年に東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程を修了。現職に至る。

ISBN:9784904894590
出版社:フリックスタジオ
判型:4-6
ページ数:270ページ
定価:2273円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年05月01日