シリーズ 日本語の醍醐味 7
老薔薇園
著:金子 光晴
監:七北 数人
内容紹介
【2023年5月現在、新本が定価(2,800円+税)で購入可能】
「園は廃れた。踏み入る小径もなくなつた。」(「廃園」より)
異色の散文詩集『老薔薇園』を中心に、反骨の詩人・金子光晴の詩業を一望する。
無一文で中国、東南アジア、ヨーロッパを放浪し、冷徹な目で日本を見つめ続けた金子光晴。代表作ともいえる詩「鮫」を発表後、軍国主義など日本の社会体制を批判する抵抗詩を書き継いだが、それらはお仕着せの思想信条などではなく、家族や近しい仲間を思う、ひりひりするような皮膚感覚から紡ぎ出されたものだった。
初期のきらびやかな耽美詩から、人間への愛情と絶望がない交ぜになった晩年の作品まで、生涯天邪鬼を通した金子光晴の詩業を一望する80篇を収録。
※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。
目次
●序詩
おっとせい
●詩・散文選Ⅰ
苔
柩
誘惑
二十五歳
アルコール
大腐爛頌
草刈り
水の流浪
土管と季節
秋の女
渦
散歩
小篇
小姐
●『老薔薇園』(全)
廃園
煙突
晩秋
春宵
雪どけ
鏡
都会
骨
道路工事
武装
うれひの花
冬の雨
漆器と和紙
風流
夜
日章旗
竹林の隠士たち
赤寺
悲しき電気
浦島
印度記
燐
玳瑁
老薔薇園
魚
龍
エルヴェルフェルトの首
●詩・散文選Ⅱ
泡
どぶ
鮫
落下傘
屍の唄
寂しさの歌
子供の徴兵検査の日に
富士
戦争
三点
〔「南方詩集」序詩〕
ニッパ椰子の唄
洗面器
孑孑の唄
偈
瘤
冥府吟
蛾
序(『人間の悲劇』)
女の顔の横っちょに書いてある詩
もう一篇の詩
さらにもう一篇の詩
〔ぱんぱんが大きな欠伸をする〕
くらげの唄
失明
お前を待つてゐるもの
花火
葦
非情
偈
無題
森の若葉 序詩
若葉よ来年は海へゆかう
おばあちゃん
愛情1
愛情13
愛情26
そろそろ近いおれの死に
●解説/七北数人