本橋成一 在り処
著:本橋 成一
編:森 陽子
紙版
内容紹介
本橋成一(1940–)は1960年代から写真作品を、1990年代より映画作品を発表し、2つの手法で市井の人々を記録してきたドキュメンタリー作家です。写真集『ナージャの村』で第17回土門拳賞、映画「アレクセイと泉」で第12回サンクトペテルブルグ国際映画祭グランプリを受賞するなど国内外で高い評価を受けています。本橋は炭鉱、大衆芸能、サーカス、屠場、駅など人々の生が息づく場をフィールドとし、社会の基底にある人間の営みの豊かさを写し出してきました。また、チェルノブイリ原発事故の後もかの地で暮らす人々の日々と故郷の喪失を主題としてこれまで写真集3冊と映画2作品を制作しています。2016年はチェルノブイリの原発事故からちょうど30年目の節目の年となります。被曝した故郷を記録した本橋の作品は、3・11を経たわたしたちに過去からの視座を与えてくれます。
本橋はこれまでの半世紀に渡る写真家としての軌跡を「在り処(ありか)」という言葉に託しました。展覧会「在り処」と連動して刊行される本書は、初期の未発表作「雄冬」「与論」、代表作「炭鉱〈ヤマ〉」「上野駅」「屠場〈とば〉」「藝能東西」「サーカス」「チェルノブイリ」、最新作の「アラヤシキ」までの、9シリーズ・262点を一堂に会する初の写真集となります。
【テキスト】椹木野衣(美術評論家)・岡野晃子(IZU PHOTO MUSEUM館長)・森 陽子(IZU PHOTO MUSEUM学芸員)