体制の歴史
時代の線を引きなおす
編著:天田 城介
編著:角崎 洋平
編著:櫻井 悟史
内容紹介
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本書は、メジャーな「体制」の歴史に、マイナーな「体制」の歴史の視座を持ち込むことで、メジャーな「体制」の歴史を批判的にとらえかえそうとする書である。
たとえば、本書は、直接的に「福祉国家体制」や「治安体制」や「グローバル経済体制」を扱ってはいないし、それらに対する内在的批判も行なっていない。
本書が企図しているのは、こうしたメジャーな体制が取りこぼしてきた人々の存在や稼ぎ方・暮らし、その苦汁や困窮のあり様から、別の「体制」という視座を打ち立てることで、これまでの「体制」の歴史に新たな分断線や補助線を引くことである。
目次
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◆ 1章 ┃ 天田城介 ----------------
戦時福祉国家化のもとでのハンセン病政策
―― 乞食労働・都市雑業労働の編成
当事者の歴史記述をいかに診断するか
当事者の語る歴史を受け止めた上で歴史を診断する
本妙寺集落の形成と変容
本妙寺集落の自治組織化
本妙寺集落の消滅
戦時動員体制/戦時福祉国家化体制での乞食労働・都市雑業労働の変容
創造的な歴史の導き方
◆ 2章 ┃ 角崎洋平 ----------------
構想される「生業」への経路
―― 貸付による離陸
「測量」する者による貸付
福祉的貸付制度史の断絶を埋める ―― 戦後直後の実践と構想
戦後の福祉的貸付と民生委員
「生業」という「離陸」経路の縮小
おわりに
◆ 3章 ┃ 佐藤 量 ----------------
満洲開拓者の再定住と生活再建
はじめに
満洲引揚げ者と米ソ冷戦
満洲開拓者の人的つながり
開拓者ネットワークと生活再建
おわりに
◆ 4章 ┃ 松田有紀子 ----------------
「女の町」の変貌
―― 戦後における京都花街の年季奉公をめぐって
はじめに
「女の町」の年季奉公体制
「女の町」の転換期
「女の町」における労働者の発見
「女の町」の変貌
おわりに
◆ 5章 ┃ 小泉義之 ----------------
精神衛生の体制の精神史
――1969年をめぐって
「批判」「改革」と「反」「脱」
社会防衛の下での医療化
精神医療の拡大 ―― 学会の改革(1969年)
精神と心理の統治体制へ
◆ 6章 ┃ 櫻井悟史 ----------------
笞刑論争にみる死刑存置を支える思考様式
苦痛を与えることを目的とする刑罰の系譜
明治期の刑罰思想小史 ―― 小河滋次郎の戦略的撤退
笞刑を支える輿論 ―― 笞刑論争の背景と後世の歴史診断
刑罰における苦痛をめぐる争い
痛苦懲戒主義の間欠泉としての死刑
◆ 7章 ┃ 福間良明 ----------------
叛逆者としての「磯部浅一」の発見
――『日本暗殺秘録』(1969年)をめぐって
「打算」と「浅慮」――『日本暗殺秘録』前史
「磯部浅一」映画の誕生
「磯部浅一」のその後
◆ 8章 ┃ 酒井隆史 ----------------
Notes on the Snake Dance / Zigzag Demonstration
A Year of Snake Dance ―― 1960年
Snake Dance phase 2 ―― 1945年から 1960年まで
ジグザグ・デモと「へたりこみ(坐り込み)」―― 路上のイニシアチヴ
転換点
ジグザグ・デモ――批判の経緯と論点
ジグザグ・デモ規制と抵抗 ―― フランス・デモの誕生
roots of the snake dance
おわりに
◆ 9章 ┃ 石田智恵 ----------------
集団の名、集団の顔
―― アルゼンチンの社会変動と「ニッケイ」
他者化の体制 ―― 20世紀前半
白人の国の東洋人
「移民/国民」の新たな形象と体制の変容
「ニセイ」と「ニッケイ」のあいだ
おわりに
◆ 10章 ┃ 近藤 宏 ----------------
アポリアを生み出す自主管理
―― パナマ東部先住民エンベラから見る先住民統治体制
実現しなかった強制退去
特別区という制度
代表制と国内移民
先住民共同体をかたどる言説編成
行政区化がもたらすアポリア
◆ 11章 ┃ 冨田敬大 ----------------
モンゴル牧畜社会における2つの近代化
―― 開発政策の転換と都市近郊の牧畜経営をめぐって
国家体制の転換
社会主義期
ポスト社会主義期
おわりに
ISBN:9784903127194
。出版社:洛北出版
。判型:4-6
。ページ数:606ページ
。定価:1880円(本体)
。発行年月日:2013年03月
。発売日:2013年03月31日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。