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子ども・社会を考えるシリーズ

人類の育児スタイルは共同養育

著:明和 政子
編:ブックスタート

紙版

内容紹介

止まらない少子化、ひとりで担う育児、児童虐待など、子育てにまつわる問題は深刻さを増しています。また、AI(人口知能)が子育ての分野でも活用されはじめ、「ヒト」はこれまでに経験したことのない子育て環境におかれています。現代の親たちが、子育てが難しい、つらいと感じるのはなぜか。ヒトにはなぜ「共同養育」が必要なのか。その理由を、ヒトとチンパンジーの心と行動の比較や、ヒトの脳の発達など、科学の視点からひも解いた講演の記録。

目次

◆はじめに
3つの問い/チンパンジーの心の研究/赤ちゃんの心の研究/科学の知見を社会に還元する

◆ヒト特有の心は、どのように進化してきたのか
ヒトとチンパンジーの心のはたらきを比較する

◆ヒトは「教えー教えられる」関係の中で脳を発達させる
ヒトの行動と心のはたらきについて知っておきたい3つのこと(1)/子育てには経験が不可欠ー野生チンパンジーと飼育下のチンパンジーの子育て/マタニティ教育を受けた飼育下のチンパンジー/ヒトの子育ては「共同養育」/「ミラーニューロン」-相手の心を無意識的に理解する/「メンタライジング」-相手の心を意識的に理解するヒト特有の脳のはたらき/「教える」のはヒトだけ/「親性」は経験によって培われる

◆発達は「でこぼこ」しながら進むー個人差と多様性
ヒトの行動と心のはたらきについて知っておきたい3つのこと(2)/発達障害と考えられる子の増加/多様性はなぜ生まれるのかー脳の「感受性期」/ヒトの脳が完成するのは25歳以降である/前頭前野と辺縁系ー脳発達の過程で起こる「ミスマッチ」

◆ヒトは「身体」を介して他者から学習する存在である
ヒトの行動と心のはたらきについて知っておきたい3つのこと(3)/胎児期から始まる母子のコミュニケーション/赤ちゃんはふれあうことで脳を発達させる/発達初期に重要な「触覚刺激」

◆ヒトらしい心を支える「まね」
まねすることで、効率よく学べる/ヒトとチンパンジーが見ている世界の違い/「メンタライジング」をはたらかせ始めるヒト

◆おわりに

◆参加者の質問より
保育に対するニーズが多様化する中でまず重要なこととは/幼児期にある「イヤイヤ期」の科学的な意味とは/見つめあうことの大切さとは

著者略歴

著:明和 政子
博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授を経て、現在、同大学院教授。日本学術会議連携会員。専門は比較認知発達科学。主な著書に『ヒトの発達の謎を解くー胎児期から人類の未来まで-』(ちくま新書)『まねが育むヒトの心』(岩波ジュニア新書)など。

ISBN:9784902077100
出版社:ブックスタート
判型:A5
ページ数:54ページ
定価:600円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年02月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNG