吉本隆明 1945―2007
著:高澤秀次
紙版
内容紹介
戦後かずかずの節目で時代と対峙し、われわれに圧倒的な影響力を与え続けてきた吉本隆明。「転向論」以来のその無敵の思想が、政治意識が稀薄になる時代の流れとともに強度を失うさまを跡づけながら、その気質の基底にある根源的な孤独と〈病〉=悲劇をあぶり出す。一貫して大衆の原像を手放さない吉本思想。その市民的欲望の肯定と革命への志向は果たして両立しえたのか、それは戦後の反体制左翼思想に対してどのように機能したのか。吉本の著作を読み解きながら同時代を歩んだ著者による渾身の書き下ろし評論650枚。
目次
序章 廃人の歌
1章 太宰という罠
2章 花田のコミュニズム/安吾のアナキズム
3章 死者を抱く者
4章 アジアから母型へ
5章 癒されざる〈病〉
終章 欲望の肯定と脱政治化
註
あとがき