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沖縄文学史の外延

著:仲程 昌徳

紙版

内容紹介

近代沖縄文学を知るためには、中央文壇の雑誌で活躍した沖縄の作家たちのことや、沖縄出身ではない作家が書いた作品というものも視野にいれた考察が必要である。そこには与謝野晶子、佐藤惣一郎、広津和郎、矢田弥八、火野葦平、上野英信、雑誌『改造』、島尾敏雄というそうそうとした顔ぶれが登場する。長年沖縄の近代文学を研究している著者の単行本未収録の沖縄文学関係の論考や講演、講義録などをまとめた一冊。
補遺編として「明治・大正期の『沖縄の投稿者たち』一覧表」を掲載。明治・大正期に刊行された雑誌で、主な雑誌の投稿者がリストアップされている。

あとがき
補遺篇の「明治・大正期の『沖縄の投稿者たち』一覧表」は、一九九一年から九五年まで「沖縄近代文学資料発掘」として発表してきたものの概説ともいえるものである。当初『沖縄の投稿者たち 沖縄近代文学資料発掘』に収録するつもりでいたのを、頁数の関係もありとりやめにしたものである。いまさらという思いもあったが、「一覧表」を作るために、数多くの雑誌を見てまわったことの記念にはなるかと思い収録することにした。
収録するにあたっていくつかの問題が見つかった。再調査の必要もあったが、それができなかった。不備のままで心苦しいのだが、どなたかに埋めてもらいたい。
沖縄の近代文学は、沖縄を出て行った者たちからはじまり、沖縄を離れた場で花開いたようにみえる。『明星』や『詩之家』は、そのことをよく示す事例であった。そしてまた、沖縄の文学を膨らみのあるものにしたのに、沖縄出身ではない作家たちが書いた沖縄に取材した作品があった。
沖縄文学史の中で、触れられてこなかったということはないが、際立つほどではなかった事例を個別に取り上げて紹介したのを集めて編んだのが本書である。「外延」とした由縁である。
(後略)

目次

■目次
Ⅰ 沖縄文学史の外延
   与謝野晶子と沖縄の新派歌人たち―『明星』を中心に 
   佐藤惣之助と沖縄の詩人たち―『詩之家』を中心に 
   広津和郎「さまよへる琉球人」をめぐって―抹殺宣言から復刻へ 
   矢田弥八の南洋文学『群島(ばんさ・ばるう)』試論 ―「小使い」の位置 
   火野葦平の絶筆「悲恋瓦屋節」考 
   上野英信の流儀 ―『眉屋私記』を中心に 

Ⅱ 報告・講演・講義録
   『改造』と沖縄の表現者たち 
   島尾敏雄 『琉球文学論』について 
   上野英信の足跡―炭鉱から沖縄へ 

Ⅲ 補遺篇
    明治・大正期の「沖縄の投稿者たち」一覧表 

あとがき 

著者略歴

著:仲程 昌徳
1943年8月 南洋テニアン島カロリナスに生まれる。1967年3月 琉球大学文理学部国語国文学科卒業。1974年3月 法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻修士課程修了。1973年11月 琉球大学法文学部文学科助手として採用され、以後2009年3月、定年で退職するまで同大学で勤める。
主要著書として『山之口貘―詩とその軌跡』(1975年 法政大学出版局)、『沖縄の戦記』(1982年 朝日新聞社)、『沖縄近代詩史研究』(1986年 新泉社)、『伊波月城―琉球の文芸復興を夢みた熱情家』(1988年 リブロポート)、、『小説の中の沖縄―本土誌で描かれた「沖縄」をめぐる物語』(2009年 沖縄タイムス社)。『宮城聡―『改造』記者から作家へ』(2014年)、『雑誌とその時代』(2015年)、『沖縄の投稿者たち』(2016年)、『もう一つの沖縄文学』(2017年)、『沖縄文学の一〇〇年』(2018年)、『ハワイと沖縄』(2019年)、『南洋群島の沖縄人たち』(2020年)、『沖縄文学の魅力』『ひめゆりたちの春秋』(2021年)、以上ボーダーインク。

ISBN:9784899824190
出版社:ボーダーインク
判型:4-6
ページ数:267ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年02月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ