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統計学はときにセクシーな学問である

著:デビッド・シュピーゲルハルター
訳:石塚 直樹

紙版

内容紹介

世界的名著『SEX BY NUMBERS』 待望の翻訳完成!!
統計学の世界的権威,デビッド・シュピーゲルハルター氏(ケンブリッジ大学統計研究所)がセックスを題材にして統計の数値の読み方を伝授します。
ビッグデータの時代だからこそ,著者はデータの質が大事であると強調しています。翻訳は著者と親交のある石塚直樹氏(がん研有明病院)。訳者注も充実しています。
あなたが学ぶのは統計学?それともセックス?

「本書を執筆した理由は,メディアはセックスについて常に浅薄なあるいは衝撃的な内容を取り上げますが,一方のリアルワールドに関しては,学識的議論がほとんどなされていないことを,不幸なことだと思っていたからです。

私たちは,ビッグデータやその解析がもつ力に対して,大きな期待をかける時代に生きています。そこで重要なのはデータの量ではなくデータの質であることは明白です。本書で,これまでの調査データを取り上げ,ホテルの格付けのように星印で評価したのはそのためです。

本書を執筆することはきつい仕事でしたが,その成果は喜ばしくとても良い書評を受けました。訳者の石塚直樹氏により日本語の注がいくつか追加され,本書が日本でも読まれることを非常にうれしく思っています。」

デビッド・シュピーゲルハルター「序 日本の皆さまへ」

目次

はじめに クリントン大統領は不倫をしていましたか?
       セックスを数値に落とし込むとは
 オーラル・セックスは「セックスした」と言えるのでしょうか? 
 ドアの向こう側で起きていることを知るのは難しい――性情報の格付け
  ★★★★(レベル4):信頼できる数値  
  ★★★☆(レベル3):ほぼほぼ正確な数値  
  ★★☆☆(レベル2):かなり間違っている可能性がある数値  
  ★☆☆☆(レベル1):信頼できない数値 
  ☆☆☆☆(レベル0):捏造された数値  
 セックスの統計は何を教えてくれるでしょうか?――統計には限界がある
 ということで,クリントン氏はルインスキー氏と性的関係があったのですか?

第1課 セックスの回数 “平均値”と“中央値”
 セックスの回数はどのくらいですか?
 セックスの回数が減った理由
 難産だったNatsal調査 
 セックスの回数の調査方法 
 ということで,セックスの回数はどのくらいですか? 
  [訳者のピロートーク] 平均値は万能ではありません 

第2課 セックスパートナーの人数 “平均値”の謎
 異性のセックスパートナーはこれまでに何人いますか?
 なぜ男性は女性よりパートナーの人数を多く報告するのでしょうか?
 人々の回答を信頼できますか?
 セックスをしていなかった人は何人でしょうか? 
 二股をかけている人は何人でしょうか?  
 父親はだれですか?  
 パートナーとの関係はどのくらい続きましたか?  
  [訳者のピロートーク] 生存時間を表現する方法 

第3課 男女間のセックス アルフレッド・キンゼイの偉業
 アルフレッド・キンゼイ 
 ヴァギナル・セックス 
 体位 
 オーラル・セックス 
 アナル・セックス 
 行動を変える理由はなんですか? 
 BDSM 
 他の性行動 
 キンゼイの宿命 
  [訳者のピロートーク] データの集計方法と解析方法 

第4課 同性間のセックス MSMとディジット比
 マグヌス・ヒルシュフェルトはどのような人ですか?
 同性間性行動の回数 
 キンゼイ・スケール 
 同性愛者の割合はどのくらいでしょうか?
 セクシャル・アイデンティティ(性自認)
 同性間性行動の有無 
 性自認と性行動はどのように違うのでしょうか? 
 同性間性行動の種類 
 性自認を決める要因は何でしょうか?  
 ヒルシュフェルトの偉業 

第5課 孤独なセックス マスターベーションの頻度と健康障害
 マスターベーション・大ピンチ
 ピンチからの挽回  
 インターネット・ポルノがもたらした新たなピンチ

第6課 性行動のはじまり 初体験の年齢と10代の妊娠・出産
 ジェネレーション・ギャップの誕生 
 初体験は何歳でしたか? 
 10代の妊娠・出産 

第7課 性行動への欲求 対象・頻度と性的興奮度
 いつ性的な欲求を感じますか?  
 どのくらい頻繁にセックスのことを考えますか? 
 誰を魅力的だと思いますか? 
 性的興奮度の測定 
 性的興奮の影響 
 態度・姿勢 

第8課 パートナーの決定:カップルの成立 婚前セックスと出産
 結婚前のセックス 
 結婚前の妊娠 
 過去の私生児  
 現在の私生児 
 いつ結婚しますか? 
 赤ちゃんとセックス

第9課 子どもを望まないセックス 避妊法の今昔とその失敗率
 禁欲を測定することに関する問題  
 ピルを服用することの重要性  
 現在の避妊  
 避妊の効果  
 中絶  

第10課 子どもを望むセックス 年間出生率と受胎時期
 1回のセックスで妊娠する可能性 
 男性は何人の赤ちゃんをつくれるのでしょうか?
 予定外の妊娠  202
 いつ受胎したかで差があるのでしょうか? 

第11課 性行動がもたらすもの 快楽と健康
 サイズは問題になりますか?  
 射精までの時間  
 セックスの健康上の利点 
 より刺激的に 
 セックスの満足度 
 どれくらいの人が性的な問題を抱えているのでしょうか?  
 性的な障害とは何でしょうか?  
 性的な障害を治療できるのでしょうか? 

第12課 セックスとメディアとテクノロジー 性行動への影響
 メディアにはセックス記事が溢れているのでしょうか?  
 テレビ番組中のセックスは若者の行動に影響するでしょうか? 
 ポルノグラフィーを観るのは何人でしょうか? 
 人々は何を見ているのでしょうか? 
 ポルノグラフィーにはどのような影響があるのでしょうか? 
 どの程度セクスティングは流行っているのでしょうか?  
 セックスの調査はメディアではどう報告されるのでしょうか?  

第13課 マイナスの側面:性感染症 罹患率と感染リスク
 何人が性感染症に罹患したのでしょうか?  
 感染する可能性はどのくらいでしょうか?  

第14課 男児か女児か 産み分けの精度を上げるには
 女児より男児のほうが多く生まれるのでしょうか?  
 女児より男児の数が実際に多かったのはいつでしょうか?  
 戦争の終わりにどうして男児が多く生まれるのでしょうか?  
 なぜセックス回数が多いと男児が多く生まれるのでしょうか?  
 なぜ男子が多い国があるのでしょうか?  
 産み分けの精度を上げることは可能でしょうか? 
 
第15課 結論:性行動の興味深さ

付録 Natsalの調査方法

著者略歴

著:デビッド・シュピーゲルハルター
ケンブリッジ大学統計研究所教授,英王立統計協会会長
訳:石塚 直樹
三重県生まれ。
1988年 東京理科大大学院工学研究科修了。
2002年 東京大学医学系研究科保健学博士。
生物統計学を専門として,日本臨床腫瘍研究グループデータセンター,国立国際医療研究センターなど,公的な研究機関において大規模臨床研究に従事。また,企業における臨床開発部門での業務経験を持つ。
現在,公益財団法人がん研究会有明病院臨床研究開発センター勤務。熊本大学客員准教授,九州大学非常勤講師。

ISBN:9784897753720
出版社:ライフサイエンス出版
判型:A5
ページ数:340ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2018年08月
発売日:2018年08月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VF