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葛と日本人

著:有岡利幸

紙版

内容紹介

万葉集に秋の七草と詠われたクズと日本人の付き合いは古く、葛布、葛粉、生薬として利用してきた。近年では緑化植物とされる一方で、建造物や植林地に繁茂したクズは大きな問題となっている。森林育成に長年従事し、クズを知り尽くした著者が、日ごろ目にしていても気づかないクズと日本人との関わりの歴史を紐解く。

目次

第一章 風にみせる銀色の葉裏 クズの植物誌
    クズの種類と和名/クズの生育/クズの葉/クズの花/クズの豆果と種子/クズの根

第二章 黄葉する葛の葉 万葉の葛と秋の七草
    『万葉集』と万葉の植物/『万葉集』に見える葛の歌/クズの葉の黄変/クズのつるは萬世に絶えじ/かえすがえすの裏見草/クズと秋の七草/秋の七草の生える場所

第三章 葛の網で土蜘蛛を捕らえる 『日本書紀』の葛
    ヒコホホデミの東進/葛の網はどうやって作った?/森林を乾燥から守る葛/土蜘蛛は原住民である

第四章 葛を詠う
    和歌に詠まれた葛のイメージ/民衆歌謡のなかの葛/近代の短歌に詠まれた葛/俳句の葛

第五章 葛の民俗
    葛の方言/葛の家紋/信太の森の葛の葉狐伝説/クズのつるの利用/クズの葉で染める/クズを活ける

第六章 葛布を織る
    葛の古代布/葛布へのあこがれ/葛布に適したつるの刈取りと処理法/葛布の産地

第七章 クズを食べる
    クズの根食のはじまり/江戸時代の飢饉とクズ/クズ根の掘り方/葛粉の作り方/葛粉の産地/葛粉の料理と菓子/『料理物語』の葛料理/時代小説に見る葛料理/新芽と葉と花を食べる/薬としてのクズ

第八章 繁茂するクズ
    繁茂クズ被覆の諸問題/クズはなぜ害草となったのか/林業とクズとの闘い/鉄道に及ぼす影響/河川敷のクズ/太陽光発電を妨げるクズ/造成地に潜むクズ/アメリカに渡ったクズ/中国の黄土地帯を緑に/山地に生えたクズの除去法/家庭でできる根株処理/その他の除去法

著者略歴

著:有岡利幸
1937年、岡山県生まれ。1956〜93年まで、大阪営林局にて、国有林における森林の育成・経営計画業務などに従事。1973〜2003年3月まで近畿大学総務部に勤務。2003年4月〜2009年まで (財)水利科学研究所客員研究員。1993年第38回林業技術賞受賞。 
    
【著書】
『松と日本人』 1993 (人文書院、第47回毎日出版文化賞受賞)
『松茸』1997、 『梅Ⅰ・Ⅱ』1999、 『梅干』2001、『里山Ⅰ・Ⅱ』2004、 『桜Ⅰ・Ⅱ』2007、『秋の七草』『春の七草』2008、 『杉Ⅰ・Ⅱ』2010、『檜』2011、 『桃』2012、 『柳』2013、 『椿』2014、 『欅』2016、 『和紙植物』2018 (以上、ものと人間の文化史 法政大学出版局)
『資料 日本植物文化誌』 2005 、『花と樹木と日本人』 2016 、『樹木と名字と日本人』 2018、『縁起のいい樹と日本人』2020、『藤と日本人』2021 (八坂書房)
など多数。

ISBN:9784896943320
出版社:八坂書房
判型:4-6
ページ数:200ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TVK