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菜根譚のことば

著:中村 璋八

紙版

内容紹介

人生・処世の智慧を述べた書として愛読されてきた 『菜根譚』 は、もっぱら明刊本が流布しているが、本書ではそれとは内容の異なる清朝本から、心に豊かさと寛ぎをあたえる一二九章を精選・解説。

目次

   ま え が き   『菜根譚』 という本の生い立ち
   解   説  洪自誠の世に臨む姿勢

  Ⅰ わが品格を高める

   一、 気骨を養う
1 幾たび挫折してもくじけない心を持て
2 安易になじまず困難に耐えよ
3 世間の流れに抗して身を処せ
4 身を高く持して、 世俗の風儀に超然たれ
5 人物・風采は自分自身の中にある
6 真理を住処とする
7 天命を超克する

   二、 感情を律する
8 有より無に入るが学問のあり方
9 情欲の念を少なくすれば性理がわかる
10 喜怒・愛憎の情は顔色に出さない
11 貪心・疑心は人を蒙昧にさせる
12 苦労も枯淡も度を越さず
13 欲望に流されず、 道理を守って
14 心の均衡の保ち方

   三、 器量を大にする
15 ほど良い状態で世に処す
16 物事に対しては適度な態度で接する
17 汚濁に染まらず名を挙げず、 精気を保ち角を立てず
18 長生の道は一歩譲ることから
19 世俗の汚濁に潔癖すぎない
20 人には甘すぎず辛すぎず
21 平安招福への道

  Ⅱ 書物を読んで学ぶ
22 何ごとも困難なところより始めよ
23 人の見識によって価値は異なる
24 富貴な人・聡明な人は、 とかくこうなる
25 学問はよそ見をせず、 修養は功名に惹かれず
26 古典は、 まず自分の心を清らかにしてから学ぶ
27 自分だけ教養を高め、 立身を果たしても
28 謹厳・清廉なだけでは息が詰まる

  Ⅲ 和やかな家庭で健すこやかに暮らす
29 まずえこひいきと家内のいざこざをなくす
30 幸福や禍害は日常生活の中に潜む
31 美食美衣が身を滅ぼす
32 家族団欒の中に道は実現している
33 若者教育の眼目は交友関係
34 家人の過ちは和気をもって諫める
35 公務と家庭への戒め

  Ⅳ 佳い人間関係をつくる

   一、 友   人
36 遊び仲間ではなく生涯の友を見つけよ
37 人にも事にも余裕をもって接し当れ
38 人はうわべで判断せず、 性格を良く見よ
39 幸福は身近な事柄の中に潜む
40 君子の平生は濃淡適正に
41 処世の四戒
42 人の短所にはやんわりと対処する

   二、 隣   人
43 危険はむしろ平穏なときに隠れている
44 自らは一歩譲り、 他には完全を求めず
45 人を叱責し導く秘訣
46 人生の難事には譲る心で対処する
47 忘れてはならないことと、 忘れなければならないこと
48 心を許してはならない人物
49 部下はいじめず、 友は選んで

   三、 世   人
50 好醜・賢愚を区別しない度量が大事
51 小事にも大事にも変わらぬ態度で臨め
52 世俗の中にも滋味があることを知る
53 身をもって事に当たり、 潔よ く身を引く
54 華美な生活の中でも衰亡を忘れない
55 世俗から離れて立ち、 時機を待って動け
56 他人の咎は荒だてない

  Ⅴ 治世に身を挺する
57 思いやりがあってこそ事は成就する
58 私欲への熱意を転じて、 学徳・孝行・済民を志す
59 弁舌より誠実を重んぜよ
60 自分は廉潔でも他人の弱みを追求するな
61 高位にあって流されず、 隠遁して偏せず
62 独居して良心に恥じない態度が公務に就いたとき生きてくる
63 恩恵と威厳の示し方

  Ⅵ 乱世に身を処する
64 廉潔・謙譲は自分から誇らない
65 状況に逆らわず、 円満無事を旨とする
66 時世を良く見、 相手を良く見て
67 天命を超越する方法
68 無欲を住処とする
69 栄進を望む心が憂畏のもと
70 人生は操つり人形、 糸はわが手に

  Ⅶ わが身の幸不幸と付き合う

   一、 富貴と貧賤
71 善福はちょっとした慈愛と謙譲で得られる
72 心が温かで清らかならば貧乏でも心豊か
73 真に必要なお金の使い方
74 貧者は卑屈、 富者は非礼に陥りやすい
75 富貴を求めず有閑な生活を送れ
76 清貧や酔境の中に真の心の充実がある
77 平等の世界に心をやる

   二、 名声と逆境
78 名声は小人を育てるが、 君子には不必要
79 誹謗・横逆は人格形成の糧
80 一時の禍福に一喜一憂せず思いめぐらせ
81 権勢・利益に追随すると自滅する
82 名利にとらわれず、 刑罰に関わらず
83 失意も得意も他人の前では示さない
84 逆境・貧苦は天の試練

   三、 老いに備える
85 心に恥じることはせず、 希望と思慮をなくすな
86 若者は躁に、 大人は惰気に注意
87 若者は周到に、 老人は淡泊であれ
88 人生の有限を知って、 それに対応せよ
89 静思して世俗から遠ざかれ
90 人の値打ちは晩年で決まる
91 引き際の妙

   四、 死を迎える
92 事変や死期に遇っても慌てない心掛け
93 栄辱・生死は併せて思量すべし
94 争えば窮し、 満つれば空むなし
95 死期に富貴は未練のもと、 貧賤は煩らいからの解放
96 人生は気負わないでゆったりと過ごそう
97 人生を楽しみ、 酔生夢死を自戒する
98 生者必滅道理

  Ⅷ 自然に親しみ、 自然から学ぶ
99 節を守って人の性を全うする
100 都会生活の強迫は自然の中で緩解する
101 鳥獣の諸相を見て人生を考えよ
102 平静な生活をすることのしあわせ
103 華麗な俗塵より閑静な清幽
104 花鳥風月が心を活溌・寛大にさせる
105 至清は至穢より生ず

  Ⅸ 風雅を解する
106 何ごとも五分に止めるのが安穏
107 物我ともに忘るれば古今は蜉蝣の如し
108 自然の変化を熟知すれば真理がわかる
109 悠然と身辺のことを見て道理を知ろう
110 天地自然の恵みを素直に味わえ
111 天地自然の妙境
112 隠棲の楽しみ

  Ⅹ 悠閑を尚ぶ
113 緊急の行動・操守は閑暇のうちに養う
114 暇なときの心の引き締め方と心の緩め方
115 静閑を保って俗世を眺め、 俗務の中にも閑暇を
116 身近なところに万物古今の道理がある
117 真を全うする道
118 俗世にあって中道を行く
119 風流も執着すれば俗物となる

著者略歴

著:中村 璋八
1926年~2015 年。 元、 駒澤大学名誉教授。 東京文理科大学漢文学専攻卒。 京都大学・大阪大学講師、 中国、 復旦大学客員教授など歴任。 文学博士。
〔著書〕 『重修緯書集成』 『五行大義』 『食経』 『食物本草』 『周易本義』 『風俗通義』 (明徳出版社)、 『菜根譚』 (講談社、 講談社学術文庫)、 『菜根譚』 (東方書店) 等

ISBN:9784896197624
出版社:斯文会
判型:B6
ページ数:197ページ
定価:1400円(本体)
発行年月日:2007年12月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDX