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北の美術の箱舟

著:佐藤 友哉

紙版

内容紹介

北のアートシーン、その奔流のなかで書き綴った美術ドキュメント

北海道立近代美術館に建設準備室当時から学芸員として関わり、以降2022年まで北海道の公立美術館で美術展開催に尽力してきた著者が、在職中の約40年間に書き綴った文章を整理。膨大なテキストのなかから、現代の美術について、北海道におけるグループ展や作家たちをテーマに扱ったものを収録した。

北海道の現代美術が同地ならではの潮流を生みだした時代に立ち会い、その流れのなかに浮かぶ舟として記した言葉をまとめた美術ドキュメント。

目次

1 現代絵画の行方
モネ《睡蓮》と現代
二十世紀美術という「物語」
二十世紀と静物画
木、そして絵画と彫刻のあいだ
存在の再生装置としての美術
ストイシズムを超えて ―韓国の絵画の現代
日本の現代美術概観

2 ブランクーシ、ピカソ、エコール・ド・パリ
無限の飛翔を夢みて ブランクーシとナッシュ
ピカソの版画世界
エコール・ド・パリの異邦人たち
パスキンとエコール・ド・パリの群像
異邦人彫刻家たちのパリ

3 北の美術をめぐって
アイヌ文様の美、その発見
北海道・炭鉱・美術
世紀末と北の具象絵画
北海道の現代美術 ―一九七〇年代後半以降の動向と作家たち―
象徴と景観、そして形のゆくえ
Sapporo Conception ―北の現代美術の網目から

4 北のグループ展に寄せる
プリントアートの今日
北海道版画協会50周年に寄せて
“日本の絵画”の創造に向けて
北海道現代具象展と“具象展”
札幌アートクロッシング ~新たなサッポロ未来展に寄せて
「生命」を描くということ
「立体表現」と北海道立体表現展の作家たち
北海道立体表現展 ~道立近代美術館の作家たち
川の起源/水脈の肖像/有限との対峙
二つの“肖像”の立つところ
素材とジャンル、その交差と交響
トランスフォームと想像力 ~交差する視点とかたちvol.3に寄せて
時間と身体のはざまで ~視点の交差とかたちvol.4に寄せて
かたちがたちあがるところ ~交差する視点とかたちvol.5に寄せて
「2+2北海道・光州美術交流展」に寄せて
「2+2」展ふたたび
前未来形、あるいはオープンソースとしてのアートへ
「チ・カ・ホ」と「つながろう展」をめぐって

5 北海道の作家たち
生と死とロマンティシズム ―難波田龍起の内的ヴィジョン―
難波田龍起と北海道《北国の家》から《たたかい》まで
《生成の詩》と春の光
対話と沈黙のイマージュ ―小川原脩の世界
中島公園と山内壮夫の彫刻
藤川叢三の彫刻 ―イタリア留学とその後
時への鎮魂とオマージュ 中江紀洋の彫刻世界
精神が形となるとき ―《意心帰》の世界
砂澤ビッキ《四つの風》をめぐって
北岡文雄 ―木版画の軌跡
音楽へのオマージュ ―渡会純价の版画世界
版のヴィジョネール 一原有徳の世界
矢崎勝美のCOSMOS
岡部昌生 ―シンクロと往還
都市/皮膚のインデックス
阿部典英、その創造のヒミツ
阿部典英 ―北の前衛の軌跡
跛行から浮遊へ ―米谷雄平・解脱への絵画
内発する平面 ―花田和治の絵画
夢の発する光 ―杉山留美子の絵画
崩壊とポイエーシス ―佐藤武の絵画世界
自在な力学の方へ ―荒井善則の仕事
端聡の近作
フットワークとしての芸術 川俣正のプロジェクトをふり返って
《林縁から》をめぐって
〈いのち〉の在処 ―下沢敏也の陶の仕事

あとがき
佐藤友哉略歴

著者略歴

著:佐藤 友哉
1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

ISBN:9784891154264
出版社:中西出版
判型:A5
ページ数:486ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AB