ヒトは軍用AIを使いこなせるか
著:ジェームズ ジョンソン
訳:川村 幸城
内容紹介
生成AIのリスクが指摘されるなか、さらに懸念されるのは実態の見えない軍事用のAIである。大国どうしのAIの軍備競争が本格化し、戦争の様相は大きく変わろうとしている。AIで強化された軍事システムは作戦のペースを速め、意思決定の時間枠を超越し、人間の認知的・身体的能力を上回る。そしてAI搭載の情報システムと自律型ドローンの群れが、核抑止を支えてきた移動式ミサイル発射機や核搭載型原子力潜水艦の位置を追跡し瞬時に破壊する……。AI兵器が従来の核抑止論を根底から覆すメカニズムについて、気鋭の英国学者が未来戦のシナリオを交えながら解き明かす!
目次
はじめに 1
略語表 10
序章 AIのパンドラの箱を開ける 12
第Ⅰ部 AIルネッサンスの動揺 29
第1章 軍用AIとは何か? 30
第1節 AIとは? 32
第2節 マシンラーニング─重要なAI実現技術だが「錬金術」にあらず 38
第3節 AIの軍事的意味を解き明かす 47
結 論 56
第2章 第2次核時代のAI 59
第1節 戦略的安定性─観念上の理想か? 61
第2節 AIと戦略的安定性─分析枠組みの見直し 70
結 論 73
第Ⅱ部 軍用AI超大国 77
第3章 パックス・アメリカーナへの新たな挑戦 78
第1節 アメリカの技術覇権に対する新たな挑戦 81
第2節 ワシントンの新たなスプートニク・モメントとなるか? 85
第3節 AI軍備競争の力学 97
結 論 102
第4章 AI核時代と米中の「危機の安定性」106
第1節 先進的な軍事技術とエスカレーション経路 109
第2節 軍事的エスカレーション・リスクをめぐる米中の見解の相違 114
第3節 エスカレーションに対する中国の楽観的態度 119
第4節 エスカレーション・リスクの緩和と管理 125
結 論 128
第Ⅲ部 核の不安定化時代の再来 133
第5章 デジタル時代の核兵器の捜索 134
第1節 戦略的な移動式ミサイルの捜索 137
第2節 AIが実現する「海洋の透明化」141
結 論 149
第6章 猛烈なスピード──ドローン群と極超音速兵器 152
第1節 AI増強型ドローン群──人間を意思決定ループから排除する危険性 154
第2節 スウォーム行動と新たな戦略的課題 159
第3節 極超音速兵器とミサイル防衛 165
結 論 171
第7章 AIとサイバーセキュリティ 174
第1節 サイバーセキュリティと核兵器 178
第2節 AIによるサイバー銃──もぐら叩きゲームの負け試合 183
第3節 核保有国間のデジタル操作──兵器化されるディープフェイク 189
結 論 191
第8章 戦略的意思決定と知能マシン 195
第1節 AIによる戦略的意思決定──魔法の8ボールか? 198
第2節 予測革命とエスカレーションの自動化 204
第3節 安定性の諸刃の剣 212
結 論 224
最終章 AIの将来を管理する 229
第1節 軍用AIの管理──AIの安全性と「底辺への競争」の回避 239
第2節 議論と対話 241
第3節 AIの軍備管理 245
第4節 サイバーセキュリティにおける「最良の実践方法」とベンチマーク 252
解 題──訳者あとがきに代えて 258
本書のテーマ 259
本書の内容 263
軍用AI研究と本書の意義 270
脚 注 361
ISBN:9784890634354
。出版社:並木書房
。判型:4-6
。ページ数:364ページ
。定価:2200円(本体)
。発行年月日:2023年06月
。発売日:2023年06月07日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW。