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ブランデンブルク隊員の手記

著:ヒンリヒボーイ クリスティアンゼン
監:大木 毅
訳:並木 均

紙版

内容紹介

はじめに 二〇二二年二月二四日、ロシアがウクライナに侵攻し、本書の舞台となったキエフ(キーウ)北方の地は再び戦場と化した。不幸なことではあるが、本書におけるプリピャチ湿地の戦闘やウクライナ人のロシア人に対する感情などの描写はアクチュアルな意味を持つことになってしまった。
 本書が一日も早く「歴史書」に戻ることを祈りつつ、後世のために、この邦訳が刊行された時期の状況を付記しておく。

ドイツ特殊部隊「ブランデンブルク」
これまで具体的な活動がほとんど知られることのなかった「ブランデンブルク」の元隊員による回想録。
同部隊の特性や独ソ戦での対パルチザン活動、不快極まる湿地帯での作戦行動、イタリア山岳地帯での活動等々……戦時中の日記などを基に活写されている。
さらに敗戦後はブランデンブルク隊員であったことから「戦犯」として一〇年の長きにわたってソ連に抑留。
労働収容所や刑務所での過酷な体験、父親との再会と別れ、脱走の試みなど、当事者の得難い証言をまとめた貴重な史料!

目次

〈監訳者のことば〉
大戦を生き抜いた若者の記録(大木 毅)1

はじめに 9
1 運命の決断 11
2 対パルチザン作戦 20
3 ヴィテプスクをめぐる戦い 34
4 泥濘の主陣地の中で 58
5 湿地帯からイタリアへ 82
6 将校選抜課程 92
7 ヴィシャウでの士官教育 96
8 少尉として部隊に復帰 101
9 降伏の混乱 104
10 ソ連の捕虜に 108
11 ソ連の収容所 113
12 矯正労働二五年の有罪判決 131
13 脱走の準備 147
14 脱 走 153
15 再逮捕 161
16 二度目の有罪判決 172
17 ノヴォ=チェルカスクの刑務所へ 187
18 帰 郷 204
編集者による結び 213
付録1 参考・推奨文献 215
付録2 著者履歴 216
付録3 本書に登場する場所について(時系列順)218
付録4 第90歩兵補充大隊(自動車化)228
付録5 特殊部隊「ブランデンブルク」(1939年から)「ブランデンブルク」師団(1943年4月1日から)230
付録6 特殊部隊「ブランデンブルク」装甲擲弾兵師団 234
付録7 「シル」部隊(遊撃隊)237
訳者あとがき(並木 均)240

著者略歴

著:ヒンリヒボーイ クリスティアンゼン
1924年ドイツ/キール生まれ。1942年に「ブランデンブルク」特殊部隊に入隊、ソ連およびイタリアにて特殊作戦に従事。敗戦後は捕虜および「戦犯」としてソ連に抑留され、その間に脱走を試みるも、1955年まで労働収容所や刑務所で服役。帰国後は大学教育を経て国家公務員として西ドイツ政府に奉職。1992年および1998年にロシア連邦政府により名誉を回復。2014年リューベックにて没。
監:大木 毅
現代史家。1961年東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてボン大学に留学。千葉大学その他の非常勤講師、防衛省防衛研究所講師、国立昭和館運営専門委員等を経て、著述業。『独ソ戦』(岩波新書)で新書大賞2020大賞を受賞。主な著書に『「砂漠の狐」ロンメル』『戦車将軍グデーリアン』『「太平洋の巨鷲」山本五十六』『日独伊三国同盟』(以上、角川新書)、『ドイツ軍事史』(作品社)、訳書に『戦車に注目せよ』『「砂漠の狐」回想録』『マンシュタイン元帥自伝』『ドイツ国防軍冬季戦必携教本』(以上、作品社)など多数。
訳:並木 均
1963年新潟県生まれ。中央大学法学部卒。訳書に『大西洋の脅威U99』『Uボート、西へ!』(以上、潮書房光人新社)、『Uボート戦士列伝』(早川書房)、『Uボート部隊の全貌』(学研パブリッシング)、『戦略インテリジェンス論』(共訳・原書房)、『情報と戦争』『ナチスが恐れた義足の女スパイ』(以上、中央公論新社)、『始まりと終わり』『急降下爆撃』(以上、ホビージャパン)など多数。

ISBN:9784890634187
出版社:並木書房
判型:4-6
ページ数:244ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNP