回想録 わが師たち 藤田省三・古在由重・高杉一郎
著:太田 哲男
内容紹介
藤田省三・古在由重・高杉一郎――その行動・思想・哲学・経験を伝えるものは、著作だけに限られない。
著者が接することのできた三人の肉声の記録は、「時代」の証言を聴くことでもある。
目次
Ⅰ 藤田省三
藤田省三さんの思い出――冷戦終結のころ
〈一〉はじまり
古在由重追悼集ほか/時代状況と『思想の科学』対談/勉強会
〈二〉冷戦の終焉とソ連・東欧社会主義体制の崩壊
『スターリン時代』と『絶滅された世代』/「禁書目録」/『全体主義の起原』との出会い/『資本蓄積論』の翻訳
〈三〉自然哲学と相互扶助論
本をどう読むか/自然哲学/『相互扶助論』など/私の受けた影響/
藤田省三さんから聞いた文学世界
文学からくみ出す努力/長谷川四郎『鶴』と北條民雄『いのちの初夜』/日本の古典文学/近代文学/石原吉郎/映画/世界文学/古在さん追悼集会/「語る藤田省三」/形見に
Ⅱ 古在由重
古在先生の思い出――原水禁運動との関わり、古在ゼミの思い出など
はじまり
〈一〉古在ゼミに加わるまで
古在ゼミに入る/ベトナム反戦/オルドリッジのこと
〈二〉原水禁運動再統一への努力
「被爆三〇年広島国際フォーラム」と吉野源三郎/一九七五年ころの核をめぐる状況/オルドリッジに着目した吉野源三郎/一九七七年 五氏アピールと五・一九統一合意/ノエルベーカーとマクブライド/吉野・中野・古在/古在の位置/古在によるゼミでのレポート/「河上肇全集内容見本」
〈三〉核兵器廃絶運動の高揚
統一世界大会から国連へ/吉野の遺志の継承/核問題討論会とグラス・ルーツ/中野好夫のスピーチ/中野好夫の「贖罪の人生」/海外での反核運動の高揚/文学者の動き/国連へ
〈四〉暗転
突然の暗転/七月一〇日の会議/八四年の世界大会とその後/藤田省三の見方
〈五〉古在ゼミとその周辺
スターリン主義をめぐって/弁証法について/イデオロギーとは別に/石堂清倫氏の回想/アンソニの指摘/古在ゼミでの私のレポート/平和問題談話会について/美代夫人のこと/新聞に出た名前/ベルリンの壁崩壊のころ/最後の面談/最晩年の介護、そして死去/追悼集会/おわりに
付 蔵書整理のことなど
陸井三郎さんのこと――古在ゼミの記録から
古在ゼミでの陸井さん/北ベトナム訪問について/国際問題評論家/トライデント・ミサイル設計技師オルドリッジ/イギリスの運動家たちとの交流/西ヨーロッパの反核運動について/『ハリウッドとマッカーシズム』/ジョン・ダワー/ハーバート・ノーマン/フィクサー/忘れまいぞ「核」問題討論会
Ⅲ 高杉一郎
高杉一郎とエスペラント
はじめに/高杉の仕事/エロシェンコ/エロシェンコの創作活動/魯迅/秋田雨雀/高杉のエスペラントとの出会い/留学生との交流/外国人との文通/改造社時代/日中文学者往復書簡/シベリア抑留/五〇年代の高杉の仕事/なぜエロシェンコを訳したか
女神の森――フィリパ・ピアスから高杉一郎への手紙
あとがき
人名索引