びわ湖の森の生き物 3
川と湖の回遊魚ビワマスの謎を探る
著:藤岡 康弘
紙版
内容紹介
海ではなく、琵琶湖と川とを行き来するサケ科魚類、ビワマス。雄の一部が湖へ下らないまま成熟する河川型の発見、アマゴなど近縁種との比較実験を通して、湖で進化してきた淡水魚の独自性に迫る。
目次
第1章 見なれぬ魚
再会/川の魚つかみ/出会い/ダムの建設
第2章 ビワマスとサケ科の仲間たち
醒井養鱒場/ビワマスとアマゴ/サケ属の仲間たち/サケ科魚類の生活
陸封と降海/湖のサケ科魚類
第3章 さまざまな姿
比較研究/体色の変化/“スモルト”の出現/スモルトと降海
早熟な雄/成長と成熟
第4章 フィールドにて
川へ/稚魚の生活/ 旅立ち/きっかけ/川下りの姿/ 旅のわけ
第5章 成長と食事
成長のようす/ 形態変化と発育/食事のメニュー/食べる量の変化
成長の比較/ダイエット?
第6章 川か湖か
性比の偏り/川の残留部隊/アメゴの出現/残留の意義
早熟雄の謎/湖の生活と産卵
第7章 ビワマスと海
淡水魚と海水魚/チャレンジテスト/東京大学海洋研究所
プロジェクトB/海水への適応/ビワマスと海
第8章 スモルト化とホルモン
スモルトの生理/スモルト化とホルモン/甲状腺ホルモンと川下り
体成分の変化/ハイブリッドの特徴
第9章 ビワマスの系譜
ビワマスとの別れ/サクラマス群の中のビワマス
琵琶湖の固有種/DNAから見たビワマス
第10章 ビワマスの誕生
琵琶湖水系のアマゴの分布/ビワマスとアマゴの関係
ビワマスの成立/故郷は日本海/学名の由来/名なしのゴンベ
第11章 ビワマスのゆくえ
ビワマスと人の歴史/ビワマスの現状/ビワマスの保全と琵琶湖の現状