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コレッジョの天井画

北イタリアにおけるルネサンス美術と宗教改革

著:百合草真理子

紙版

内容紹介

カッシーノ会の神学を天井画に具現化した画家コレッジョ。聖堂の立体構造を存分に活かした絵画のイリュージョンが聖なるものとの邂逅を体感させる。
──
空間を巻き込む造形表現の可能性を探求していたコレッジョにとって天井画は、自身の芸術の核といえるものだった。本書ではパルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ修道院聖堂の天井壁面装飾を対象とし、そこで選択された主題の意味、聖堂建築と観者の視点を利用した造形表現を、カッシーノ会の修練や神学と関連づけながら総合的に論じる。

目次

序章 9
一.コレッジョの画業 9
二.研究史概観 30
三.本書の問題設定 37
第一章 カッシーノ会とパルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ修道院 39
一.カッシーノ会について 39
二.コレッジョとカッシーノ会 46
第二章 コレッジョの創意と典礼における機能 51
はじめに 51
一.先行研究の諸問題 58
二.福音書記者聖ヨハネの祝日の典礼 68
三.外陣の観者に与えられる眺望 74
四.内陣の観者に与えられる眺望 84
五.「ヨハネの召天」と修道士の理想 96
おわりに 101
第三章 キリスト像の成り立ち 105
はじめに 105
一.カッシーノ会のキリスト像 107
二.ドームの《キリストの再臨》と「変容」、「復活」 132
三.アプシスの《聖母戴冠》 138
おわりに 152
第四章カッシーノ会聖堂の図像プログラム(1)─ピアチェンツァ、サン・シスト聖堂 155
はじめに 155
一.北イタリアにおけるカッシーノ会の聖堂装飾 159
二.サン・シスト聖堂の西交差廊 167
三.サン・シスト聖堂の身廊 188
四.ラファエッロ作《サン・シストの聖母》 193
おわりに 199
第五章カッシーノ会の図像プログラム(2)─パルマ、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂 201
はじめに 201
一.先行研究の概要 205
二.先行研究の問題点 213
三.《子羊の犠牲》と《「知られざる神に」と刻まれた祭壇》 216
四.袖廊における「異教の祭儀」 220
五.人と神との和解の歴史 225
おわりに 236
終章 パルマ大聖堂の天井画へ 239

あとがき 259


注 1
人名索引 37
図版一覧 41

著者略歴

著:百合草真理子
2016年、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程(人文学専攻美学美術史専門)修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC2、名古屋学芸大学非常勤講師、名古屋大学大学院文学研究科特任助教などを経て、現在、日本学術振興会特別研究員PD(東京藝術大学)。専門はイタリア・ルネサンス美術史。共著に、木俣元一・松井裕美編『古典主義再考I:西洋美術史における「古典」の創出』(中央公論美術出版、2021年)。

ISBN:9784883035434
出版社:三元社
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1D