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カラヴァッジョを読む

二点の通称《洗礼者聖ヨハネ》の主題をめぐって

著:木村太郎

紙版

内容紹介

かたや満面に笑みを浮かべ、かたや憂鬱に沈む裸体の少年を描いた2枚の絵。ともに1匹の雄羊をつれた彼らは「洗礼者聖ヨハネ」と通称されてきたが、その正体はいまだに特定されていない。彼らは誰なのか。これらの作品で画家は何を視覚化しようとしたのか。カラヴァッジョに残された最大の謎を解き明かす。

目次

はじめに  15

序章  17
1 制作経緯  17
2 作品記述  22
3 研究の現状と問題の所在  23
4 方法論  24

第一章 カピトリーノ美術館の通称《洗礼者聖ヨハネ》  31
1 先行解釈  31
2 検証  35
 A 「洗礼者聖ヨハネ」 39
 B 「解放されたイサク」 60

第二章 ボルゲーゼ美術館の通称《洗礼者聖ヨハネ》  77
1 先行解釈  78
2 検証  82
 A旧約と新約の世界を中継する「洗礼者聖ヨハネ」 86
 B恩赦の切望を訴えるメッセージとしての「洗礼者聖ヨハネ」 92
3 新たな解釈  97

おわりに  123

註  125

附録  149
 Ⅰ 《メドゥーサの首》の図像解釈
はじめに  151
1 制作経緯  157
2 先行研究  158
3 図像解釈  163
4 主張の理由  169
おわりに  174
註  175
 
Ⅱ カラヴァッジョとバッティステッロ
はじめに  183
1 バッティステッロの《洗礼者聖ヨハネ》における棒状の杖  184
2 杖の由来  188
3 バッティステッロによるカラヴァッジョの図像モチーフの借用  194
4 借用の特色  199
おわりに  203
註  204
 
Ⅲ 《泉の洗礼者聖ヨハネ》をめぐる一考察
はじめに  209
1 図像の特殊性  212
2 図像の特殊性の背景  216
3 同定の現状  223
4 新たな同定案  228
おわりに  235
註  236

あとがき 241



人名索引  1
参考文献 5
図版一覧 21
図版典拠一覧 28

著者略歴

著:木村太郎
1978年、北海道生まれ。2007年、大阪芸術大学大学院博士課程修了。博士(芸術文化学)。大阪芸術大学大学院助手、立命館大学文学部非常勤講師を経て、2012年よりイタリア政府給費留学生としてピサ大学美術史学科留学。現在、大阪芸術大学芸術学部非常勤講師。専門はバロック期イタリア絵画史。
論文に「カラヴァッジョ作《メドゥーサの首》をめぐって」(『イタリア学会誌』56)、「カラヴァッジョ作《泉の洗礼者聖ヨハネ》をめぐる一考察」(『地中海学研究』37)など、訳書にローナ・ゴッフェン『ヴェネツィアのパトロネージ―ベッリーニ、ティツィアーノの絵画とフランチェスコ修道会』石井元章監訳(三元社、2009年)がある。

ISBN:9784883034420
出版社:三元社
判型:A5
ページ数:276ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1D