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初期オペラの研究

総合舞台芸術への学際的アプローチ

編:丸本 隆

紙版

内容紹介

魅力的な初期オペラの世界。17、18世紀のドイツ・フランス・イタリア・イギリスに焦点を当て、演劇・音楽・舞踊・文学・思想・歴史・ジェンダー論等、多面的な視野でオペラ文化を捉える。

目次

■刊行によせて(竹本幹夫/早稲田大学演劇博物館館長)
■序章 オペラ研究の現状と課題:学際的・総合的アプローチを目指して(丸本 隆)
オペラ研究の現状と課題
オペラ研究と音楽学
オペラ研究と演劇学
「音楽」と「演劇」の狭間で
オペラ研究の新たな動向
オペラ研究活性化の手がかりを求めて

第一部 バロック・オペラ再考
■二つの《オルフェーオ》:モンテヴェルディとグルックのオペラにおける劇的手法をめぐって(冬木ひろみ)
モンテヴェルディの《オルフェーオ》誕生
《オルフェーオ》におけるネオ・プラトニズムとマニエリスム
グルックの《オルフェーオとエウリディーチェ》
ギリシャ神話がオペラになるとき

■バロック・オペラからの脱却:フィリドールの挑戦《エルヌランド》(森 佳子)
オペラ改革の先鞭をつけたフィリドール
17、18世紀のフランス・オペラ界
パリ・オペラ座に挑戦したフィリドール《エルヌランド》
スコアが残したメッセージ

■カストラートの衰退と女性歌手のジレンマ:近代市民社会のジェンダーから考える(弓削尚子)
カストラートの衰退
市民的価値観にもとづくジェンダー規範
女性歌手のジレンマ

第二部 オペラ/音楽劇の理論的解明
■18世紀ドイツの音楽劇をめぐる理論:特に批評家ゴットシェートと喜劇オペラとの関連において(小島康男)
ゴットシェートのオペラ批判
ゴットシェート批判
実作者ヒラーとヴァイセの場合

■オペラのなかの舞踊:カユザックの理論に沿って考える(清水英夫)
フランス・オペラにおける舞踊とカユザック
オペラ・バレ、トラジェディ・リリックにおける舞踊的要素とカユザック
カユザックのみる筋立て舞踊とシンプル・ダンス
オペラの中の舞踊に関するカユザックの同時代人の思想
上演芸術としてのオペラと、オペラにとっての舞踊の意義

■「音楽」を超えた音楽論:ブフォン論争が語るもの(福中冬子)
ブフォン論争:背景と意味、そして解釈
ルソーの『手紙』とラモーの『観察』

■つまずくザラストロ、息切れするパパゲーノ:モダンへの閾としてのゲーテ『魔笛第二部』断片(神尾達之)
モーツァルト—ゲーテ—ベートーヴェン
《魔笛》に内在する啓蒙主義批判
ゲーテ:『魔笛第二部』断片

第三部 オペラ/音楽劇のジャンル的考察
■パーセルによるセミ・オペラ作品:その定義と上演形態(八木斉子)
時代の申し子
オペラ、セミ・オペラ、そしてマスク
劇場あっての音楽
パーセル時代の《ダイオクリージァン》

■アンシャン・レジームの理想世界:メタスタージオのオペラ・セーリア(中川さつき)
言葉中心のオペラ
オペラ・セーリアの社会的機能:統治者の威光を誇示する場
「美徳」による支配の構図:君主の寛容と臣下の忠誠
叙情性:アルカディア的要素
オペラ・セーリアの衰退:音楽的要素の拡大

■巡業劇団の正嫡か落胤か:台詞劇から生み落とされた二つの音楽劇ジャンル(長谷川悦朗)
モーツァルト登場前夜の空騒ぎ
巡業劇団の聖地ライプツィヒでの揺籃期
宮廷劇場に入城する巡業劇団に抱きかかえられて
「国民劇場」への転換に翻弄されながら
一世を風靡した寵児として

■18世紀ドイツのメロドラマ:《ナクソス島のアリアドネ》における音画(関根裕子)
モーツァルトが感激したメロドラマ
ドイツ製メロドラマの成立:初演までの経緯
メロドラマの思想的背景:「情念論」と音画
《ナクソス島のアリアドネ》における音画

■18世紀オペラのダイナミズムとジングシュピール:特にヒラーとモーツァルトにみる(丸本 隆)
研究対象としてのジングシュピール
用語とジャンル呼称をめぐる問題点
ジングシュピールの「誕生」をめぐって
そもそもジングシュピールとは何か?:ジャンル的特性を検証する
演劇文化の流れの中のジングシュピール

著者略歴

編:丸本 隆
早稲田大学教授。専攻は演劇学(特にドイツを中心とする西洋の演劇・オペラ文化)。
著訳書に
『オペラの18世紀ーバロックからモーツァルトへ』(編著、彩流社、2003年)
『ドイツの笑い・日本の笑いー東西の舞台を比較する』(共著・松本工房、2003年)
『ブレヒト作業日誌』(全四巻、共訳、河出書房新社、1976-77年)他

ISBN:9784882029946
出版社:彩流社
判型:A5
ページ数:297ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2005年05月
発売日:2005年05月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVLF