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愛される音楽ホールのつくりかた

沖縄シュガーホールとコミュニティ

著:中村 透

紙版

内容紹介

 1980年代から始まった公共文化施設建設ラッシュ。しかし行政主導や首長先導型による音楽ホールは、設置当初から次のような問題要因があった。
1.地域の音楽文化の様態をとらえ、将来的な地域社会への文化構築を明確に描いていないこと。
2.ホールが主に西洋クラシック音楽を対象とした施設であること。
3.地域ホールでありながら地域の多様な音楽家や市民との協働における運営・実践の視点が乏しいこと。
4.中央からの音楽家を受け入れることが多く、人々が音楽サービスを受容するだけの消費者になりがちであること。
これらから生じる問題により、ホールが地域の音楽文化に貢献しているとは必ずしも言えない状況が続いている。
 本書では沖縄県・佐敷町(現南城市)の歴史文献と、佐敷町文化センター・シュガーホールの内部資料、公演記録、関係者の証言もとに事業の実態を分析し、ホール開館時の問題点とその解決のための手法や、住民、芸術家、運営者との協働、そして今後の地方音楽ホールが地域にもたらす影響力を具体的に論じた実務家、研究者必携の最新刊。

目次

はじめに
序章
第1章 佐敷町、そのコミュニティの歴史と文化
 第1節佐敷町の歴史・文化の外観
 第2節コミュニティの成立条件
 第3節コミュニティの音楽文化環境
 第4節コミュニティ文化施設の設置構想
第2章 シュガーホールの誕生と歩み
 第1節音楽ホールの事業理念と運営方法の模索
 第2節コミュニティ文化のための音楽ホールをめざして
第3章 地域の動態創造にはたす音楽ホールの役割
 第1節双方向型鑑賞事業の設計と実践
 第2節市民・芸術家による協働の音楽へ挑戦
 第3節シュガーホールがもたらした地域文化の変容
第4章 音楽鑑賞への柔らかなアクセスとアート・リテラシー
 ―観客開発とネットワーク形成のための音楽企画―
 第1節伝統芸能とオーケストラのコラボレーション
 第2節ポップ・ソングをクラッシック・ピアノへ
 第3節オペラか演劇か―音楽劇「モーイのとんち」―
 第4節観客開発とネットワーク形成―ミュージッキングのすすめ―
第5章音楽ホールがはたす芸術概念の拡大
 第1節間テクスト性による音楽領域の拡大
 第2節地域の音楽ホールにおける音楽家の役割
 第3節市民社会における芸術概念の拡大
 第4節地域社会における音楽ホールの課題
地域ホールへの展望
あとがき

著者略歴

著:中村 透
)琉球大学名誉教授、作曲家・芸術文化学博士。作曲理論、舞台芸術創造論。1994~2006年シュガーホール芸術監督として各種コンサ
ート伝統芸能公演等の制作・運営に参加。(財)地域創造公共ホール音楽活性化事業調査委員・アドバイザー、国立劇場おきなわ自主事業実行委員会委員等を歴任。主要作品として、オペラ「モーイのとんち」「キジムナー時を翔る」(平成2年度文化庁優秀舞台芸術創作奨励特別賞)等。 

ISBN:9784880652931
出版社:水曜社
判型:A5
ページ数:260ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2012年07月
発売日:2012年07月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AV