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文化とまちづくり叢書

フランスの文化政策

芸術作品の創造と文化的実践

著:クサビエ・グレフ
監:垣内恵美子

紙版

内容紹介

文化政策とは芸術を発展させるのみならず、国家的アイデンティティの強化や雇用創出など、社会・経済の発展に芸術を活用することである。フランスでは、古来中央政府がこの運営に決定的な役割を果たしており、その起源は太陽王・ルイ十四世の施策にまでさかのぼる——。
本書は文化芸術大国フランスの大国たる由縁を、ルネサンス期から説きおこし変貌しつつある現代の政策まで解説した初の書。建築、音楽、劇作といった中核的ジャンルはもちろん、著作権、芸術家支援、施設経営、デジタルコミュニティの誕生など、最近注目されているテーマにも言及する。

目次

1章フランス文化政策の起源とその構造

 1.その起源 
 2.文化政策の内容 
 3.文化政策の制度設計 
 4.文化政策の予算規模 

第2章文化財保護政策

 1.文化財はどのように登録されるか? 
 2.文化財はどのように保存されているか? 
 3.文化財の価値付与
 4.結論:経済的価値評価から社会的価値評価へ 

第3章芸術家支援政策

 1.芸術家数の最適値は存在するか? 
 2.フランスの芸術家は貧窮しているのか? 
 3.誰が芸術家を訓練するのか? 
 4.結論:起業家としての芸術家 

第4章著作権政策

 1.著作権政策の背景 
 2.フランスのシステム 
 3.ヨーロッパの調和にむけて 
 4.ヨーロッパ特有の課題 
 5.結論 

第5章舞台芸術政策:オペラのケース

 1.芸術を超えた芸術的組織 
 2.経済的持続性の困難さ
 3.可能な解決策
 4.パリオペラ座

第6章劇団マネジメント政策

 1.制度 
 2.演劇政策
 3.主たる課題 

第7章ミュージアム政策

 1.ミュージアムを経済的に持続可能にするために
 2.ミュージアムのネットワーク化と規模の経済の獲得
 3.ミュージアム施設のフロンティアを再設計する:間接的で補助的なサービスの外注?
 4.新たな挑戦:文化からスターダムへ 

第8章文化産業政策:映画と書籍

 1.文化産業の主な問題:独占vs多様性
 2.フランスの映画政策 
 3.オーディオビジュアルの今日的課題と政策の再調整
 4.国際的な課題
 5.もうひとつの文化産業政策:書籍に関する政策

第9章文化的景観政策

 1.定義
 2.文化的景観の選択基準は何か
 3.エコシステムとしての文化的景観 
 4.フランスの政策  

第10章地域文化政策から文化的創造都市へ

 1.文化政策における地方自治体の関与の高まり 
 2.パートナーシップの難しさ
 3.文化的創造都市 
 4.より積極的な地方文化政策に向けて

第11章フランス文化政策のアセスメント

 1.文化的価値と経済的価値 
 2.全体的な評価 
 3.セクター別評価 
 4.官僚制への批判 
 5.文化政策の効果を向上させるにはどうしたらよいか 
 6.結論

結語フランス文化政策のガバナンス

 1.新たなフレームワーク
 2.新たなガバナンス 文化的発展のための文化的パートナーシップ
 3.構造的欠陥:評価の不在

著者略歴

著:クサビエ・グレフ
パリ第一(パンテオン=ソルボンヌ)大学大学院経済専攻長。国際文化経済学会理事。パリ第13大学教授、オレルアン大学学区長、フランス文化省、OECD、EUなどのアドバイザーを広く歴任。主たる研究分野は経済政策、文化経済学、地域開発。
監:垣内恵美子
東京大学法学部法学士、シドニー大学経済学修士、東京大学工学博士。文部省入省後、滋賀大学助教授、文化庁文化政策室長などを歴任、2001年より現職。日本地域政策学会理事。主たる著書として『文化財政策概論』『文化政策概論』『文化的景観を評価する〜世界遺産・富山県五箇山合掌造り集落の事例』など。

ISBN:9784880651897
出版社:水曜社
判型:A5
ページ数:344ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2007年03月
発売日:2007年03月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AB