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水道の民営化・広域化を考える

第3版

著:尾林 芳匡
著:渡辺 卓也

紙版

内容紹介

政府は改正水道法を成立させて、民営化と広域化を推し進めている。新たな版を重ね、全県一元化の広域水道を開始した香川県、民営化を推進する宮城県の現状等を追う。また、埼玉県秩父郡小鹿野町の広域化による水道料金の値上げを初め、全国的な値上げ傾向を捉えて「水道料金の考え方」を新しく設けるとともに、水道法改正を受けた規則改正とそのガイドラインを読み直す。

目次

プロローグ●水をめぐるウソ・ホント …………………渡辺卓也  9
1  給水量が減り料金収入激減、投資ができず老朽化が加速! 10
2  水道の普及率と投資額の推移 12
3  管路の老朽化の現状と課題 13
4  水道基幹管路の耐震適合率 15
5  水道広域化が進んでいない 17
6  市町村による水道料金差が大きい 19
7  水道事業体における職員の高齢化と減少はなぜ 20
8  水道現場における経験ある職員が必要なワケ 22
9  民間に委託したことで経費が削減できたのでしょうか? 23

解説●2018 年水道法改正とは ………………………………尾林芳匡  25
1  水道法改正の内容 25
2  水道法一部改正の問題点 28
3  いま地方自治体で必要なこと 29

Ⅰ 水をめぐる広域化と民営化の現場  31
イントロダクション●各地で具体化する広域化・
民営化の動き ……………………渡辺卓也  33
1  自己水源放棄・広域化の流れ 34
2  唐突な提案・結論ありきの姿勢 35
3  過去の過剰投資には「ほおかむり」 36
4  コンセッションは「経営基盤強化で経営改善」のはずが…… 37
5  水道だけではない、コンセッションの拡大 37
6  水道民営化に対する根強い不安、議会や住民による反発 38
7  今後の闘いの糧として 39

1 香川県●全国初の県内一水道 その矛盾と
現状 ……………………………………………中谷真裕美  41
1  香川の水事情と広域化計画 41
2  自己水源廃止の矛盾 43
3  市町の自治ないがしろの広域化推進 44
4  広域化で拡大する業務委託とその一元化 47
5  「いのちの水を守ろう」住民ネットワークが立ち上がる 48

2 宮城県●水道事業の「民営化」の現状と問題点 ……………内藤隆司  50
1  宮城県の「民営化」構想 51
2  宮城県の水道事業と課題 52
3  「企業の利益を損なう」として業者選定過程が「非開示」に 54
4  宮城県の水道「民営化」の問題点 56
5  県民の理解を深めるために 61

3 浜松市●下水道処理場のコンセッション化問題 ………………………落合勝二  62
1  浜松市の概要 62
2  浜松市下水道事業と静岡県西遠流域下水道 64
3  西遠浄化センター、コンセッション化の経緯 64
4  コンセッション化ここが問題 65
――2017 年5 月議会での反対討論
5  国の目論見への対抗 68
6  西遠浄化センター・コンセッション事業開始 69
7  浜松市長は上水道民営化の判断を先送り 70

4 京都府●簡易水道と上水道の統合 ……長谷博司・衣川浩司  71
1  簡易水道事業とは 71
2  簡易水道事業の現状と統合への経緯 72
3  福知山市での統合事例 74
4  簡易水道事業の抱える問題点 77

5 奈良県●奈良市中山間地域の上下水道の
コンセッション計画 ………………………井上昌弘  80
1  市町村合併後の奈良市の上下水道 80
2  上下水道コンセッション計画の概要 82
3  民営化の背景にあるもの 85
4  住民の声を背景に議会で民営化条例案を否決 88

6 埼玉県●秩父郡小鹿野町民の水源・浄水場を守る運動 …………………水村健治  92
1  秩父郡市の河川と水源 92
2  水道事業の統合の経過――住民不在で進められた広域化計画 93
3  広域化準備室の主張するメリットと無理な配水計画 95
4  小鹿野町であがった住民の批判 100
5  水源・浄水場を守る住民の運動 101
6  秩父地域水道事業の統合――秩父広域市町村圏組合の事務に 102
7  明らかになった広域統合の問題 104
8  今後の運動 106
9  その後の動き 109

7 大阪市●市民が止めた水道民営化 …………………植本眞司 111
1  ちょっと待って! 水道の民営化 112
2  大阪市水道民営化の前哨戦=府営水道・市営水道の統合 113
3  「二重行政」の解消の野望がとん挫、民営化計画へ 116
4  広がる共同と民営化ノーの声 120

8 滋賀県●大津市のガス事業コンセッション ……杉浦智子 123
1  現在まで大津市ガスがどう運営されてきたか 123
2  今回の民営化の背景 125
――電力・ガス小売の自由化・市全体の行革
3  「あり方検討委員会」が答申した民営化(コンセッション)の
ポイント 129
4  議会や市民の運動で明らかになった問題点 131

Ⅱ 水をめぐる広域化・民営化の論点  137
1  上水道インフラの更新における広域性と効率性 ………………中島正博 139
1  「朽ちる水道インフラ」は本当か 139
2  水道インフラの広域化・民営化をめぐる論点 143
3  水道事業の広域化と効率化 148
4  水道事業の民間活用の目的と実際 152
5  水道インフラの更新計画のために 154

2  水道の民営化・広域化を考える ……………………尾林芳匡 162
1  水道とは 162
2  水道事業は地方公営企業 164
3  PFI 法・コンセッション(公共施設等運営権)と水道 166
4  水道の民営化・広域化を進めようとする動き 169
5  2018 年水道法改正を受けた規則改正とガイドライン 172
6  水道料金の考え方 177
7  公共施設等運営権実施契約書の実際 180
8  水道と広域化・民間化の問題点 184
9  世界で進む水ビジネスと再公営化 187
10 いのちの水を守るために 188
おわりに …………………………………………………………尾林芳匡 193

著者略歴

著:尾林 芳匡
弁護士
著:渡辺 卓也
元自治労連公営企業評議会副議長

ISBN:9784880377162
出版社:自治体研究社
判型:A5
ページ数:196ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2020年11月
発売日:2020年12月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS