「競争の時代」の国・地方財政関係論
一般財源は自治体の自由になるのか
著:中島 正博
内容紹介
1980年代後半からの30年間の国と地方の財政関係を地方財政計画に基づいて分析する。この30年間を「地方分権さきがけ期」「財政構造改革期」「競争の時代」に分け、地方財政計画が地方の財源保障機能から競争を前提にしたシステムへと変容する様子を追う。そこでは分権と集権のせめぎ合いを観察し、「一般財源」が本当に自治体の自由になっているかを検証する。併せて、地域振興政策=島根県海士町の定住政策、宮城県西米良村の人口減少対策を紹介。
目次
序 章 本書の目的と課題
1 「競争の時代」とは
2 学位論文で検討した課題の今日的意義
3 分権と集権のはざまで
4 一般財源による財源保障と分権的実態
5 本書の構成
第1章 地方財政計画と地方交付税
1 地方財政計画と基準財政需要額
2 地方財政計画の重点施策の推移
3 地方財政計画の推移と項目別特徴
小 括
第2章 地方財政の構造変化と計画・決算のかい離
1 都道府県決算の類型的特徴
2 都市決算の人口類型別特徴
3 計画・決算のかい
小 括
第3章 定住政策と地方交付税
1 定住政策とその期待
2 若者定住促進住宅建設の評価と課題
3 定住政策の評価と課題
4 地方単独公共事業と事業費補正
5 定住政策先進自治体―島根県と海士町の取組み
6 西米良村の人口減少対策の成果と課題
小 括
第4章 地方創生と地方交付税
1 地方創生(まち・ひと・しごと)創生の意味
2 人口減少特別対策事業費における競争の論理
3 まち・ひと・しごと創生事業費及び
枠配分経費の全国的傾向
小 括
第5章 地方財政における「自由な財源」とは何か
1 地方財政のなかでの「自由な財源」の類型と金額の推計
2 歳出特別枠と「自由な財源」
小 括
終 章 「競争の時代」の国・地方財政関係
あとがき
参考文献・資料
付表 地方財政計画の推移