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認知症の緩和ケア

診断時から始まる患者と家族の支援

監:武田 雅俊
編:小川 朝生
編:篠崎 和弘

紙版

内容紹介

認知症の人への身体症状のケアと、診断時から始まる支援はどうあるべきなのだろうか?
苦痛への配慮と将来の見通しの説明、意思決定支援の実践のために必要な情報をコンパクトにまとめたポケットブック。

新オレンジプラン(2015年1月)では「認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた環境で自分らしく暮らし続ける」ことが謳われている。その手本となったのがイギリスの国家戦略案である。本書は2011年にイギリスの精神医学、老年医学、高齢者看護の専門家によって執筆された。
カバーする領域は、若年性認知症、疼痛管理、終末期対応、意思尊重、スピリチュアル対応、成年後見制度、介護者の死別支援など包括的である。
これまで語られてこなかった、意思能力などの社会的支援と、家族のケアも含めた総合的な支援について、認知症の臨床に取り組む医師、看護、介護の方に向けてまとめた本邦初の「認知症の緩和ケア」の本である。

目次

CHAPTER 1 序…13
はじめに…14
定 義…14
疫 学…15

CHAPTER 2 認知症とそのマネジメント…25
はじめに…26
認知症とは?…27
認知症の症状…28
認知症のタイプ…36
認知症でないものとは?…48
医学モデルを超えて…54
専門家…56

CHAPTER 3 若年発症の認知症…61
はじめに…62
疫学およびマネジメントに関わる事項…62
若年と高齢の認知症患者の相違点…62
診断に関する事項…64
YODの主な病型…65
YODのマネジメント…75
緩和ケアとエンド・オブ・ライフケア…77

CHAPTER 4 高度認知症…79
認知症の進行…80
高度認知症…81
高度認知症での認知機能の変化…81
認知症の行動・心理症状(BPSD)…85
身体的変化…86
ステージ分類…87
緩和ケアの必要性の判断…90

CHAPTER 5 緩和ケアの概要…97
基 礎…98
誰が緩和ケアを提供するのか?…101
専門的緩和ケアを紹介する理由とは?…102
どこで緩和ケアを提供するのか?…103
認知症患者の緩和ケアとは何か…109

CHAPTER 6 認知症の苦痛…111
認知症の重度の苦痛(肉体的・精神的苦痛)…112
苦痛の特定と原因の理解…113
快適さとケアの提供…115

CHAPTER 7 認知症における身体症状の
評価に関する原則…117
症状評価における重要な問題…118
一般集団の症状評価…119
高齢者の症状評価…123
学習障害の人の症状評価…124
認知症の人の症状評価…124

CHAPTER 8 高度認知症における痛みと
痛みのコントロール…139
はじめに…140
生物学的回路…141
心理状態と痛み…149
高齢者における痛み…151
認知症における痛み…152
痛みのコントロールの原則…158
一般的な鎮痛薬…160
強オピオイド…165
鎮痛補助薬…181

CHAPTER 9 その他の身体症状…193
はじめに…194
口腔症状…194
消化器症状…202
呼吸器症状…227
泌尿器症状…232
神経学的症状…236

CHAPTER 10 精神的苦痛と心理・行動の問題…243
精神的,心理的な苦痛の症状…244
BPSD…247
せん妄…251
う つ…256
精神病症状…265
不安と理解力低下…274
不穏と攻撃性…278
睡眠障害…282
特異的な症状…288
痛みとBPSDの鑑別…292

CHAPTER 11 認知症による機能障害への対応…295
基本事項…296
機能の維持…297
認知機能の障害…300
身体機能の障害…303

CHAPTER 12 認知症終末期における合併症…317
はじめに…318
毎日,患者の身体を最高の状態に保つために…318
身体合併症の急性発症…321
慢性疾患の管理で考えるべきこと…330

CHAPTER 13 適切な治療を決断するために…335
治療の決断をする際に重要なこと…336
倫理的思考法…342
特定の臨床状況…351

CHAPTER 14 終末期…361
はじめに…362
死期の判別…365
最期の数日の患者管理…371
臨死期患者に対するリバプール・ケア・パスウエイ…381
死後の対応…383
シリンジポンプの管理…384

CHAPTER 15 死 別…389
はじめに…390
悲嘆と死別の理論…391
認知症の人における死別…397
認知症の人の介護者における死別…401
死別サポートの提供…403

CHAPTER 16 コミュニケーション…407
はじめに…408
コミュニケーションの質に認知症が与える影響…408
バッドニュースを伝える…411
家族とのコミュニケーション…415
コミュニケーション技術…420
脆弱な高齢者とのコミュケーションと保護…424
秘密情報をより広く共有すること…427

CHAPTER 17 認知症のパーソン・センタード・ケア…429
はじめに…430
弁証法的過程としての認知症…431

CHAPTER 18 選択,意思決定能力,ケアおよび法律…437
認知症患者の自己決定…438
イギリスでの法的枠組み…443
拘 束…459

CHAPTER 19 スピリチュアルケア…463
はじめに…464
スピリチュアルな存在を表現する方法…465
宗教とスピリチュアリティ…467
認知症患者のためのスピリチュアルケア…468
スピリチュアルケアを提供するためのツール…469

CHAPTER 20 適切なケアの提供…481
高度認知症の人のケアの場…482
在宅でのケア…483
ケアホームでのケア…498
病院でのケア…503
ホスピスでのケア…506
地域における総合診療医の役割…507

CHAPTER 21 家族介護者の視点…517
はじめに―認知症の夫を看取るまで―…518
身体介護…519
身体介護を超えて―自己モデルについて―…529
死に逝くとき…530
Malcomの病を巡る身近な人たちの反応…532
喪失と悲嘆…534

CHAPTER 22 介護者の支援…537
介護者とは?…538
介護者の負担…542
介護者のアセスメント…544
介護者支援…546

CHAPTER 23 その他の治療…549
補完医療…550
音楽療法…556

CHAPTER 24 経済的問題…563
ヘルスケアとソーシャルケア…564
その他の給付金…568

巻末付録…575
1 略語など…576
2 薬剤相互作用…584
3 重要な神経化学的症候群…588
4 皮膚分節…590
5 オピオイド換算表…592

索 引…596

ISBN:9784880021867
出版社:新興医学出版社
判型:B6変
ページ数:612ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2015年04月
発売日:2015年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ