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悪夢への変貌

作家たちの見たアメリカ

編著:福岡 和子
編著:高野 泰志

紙版

内容紹介

豊かさと平等を標榜する「理想の国」アメリカ。建国時からオバマ大統領の「Yes, We Can.」に至るまで、その理想は高々と掲げられ、人々を導いてきた。しかしその一方でこの国は、その理念・理想を裏切るような、複雑かつ困難な問題をいくつも抱え込んできた。人種問題、貧困問題、暴力・リンチ、家庭の崩壊……そうした現実に、アメリカ文学はどう立ち向かってきたのか。19世紀から現代に至るまでの、代表的なアメリカ文学作家(ホーソーン、メルヴィル、ジェイムズ、ヘミングウェイ、フォークナー、バース、パワーズなど)のテキストを通して、理想と現実のはざまで苦しむ「アメリカ」を、作家の想像力がいかに描いてきたかをたどる。

目次

第一章 「家庭」なき「家」の「日常」 ─『七破風の家』随想

第二章 『大理石の牧神』の「幸運な堕落」をめぐる二重のプロット ─十九世紀アメリカのデモクラシーとプロヴィデンス

第三章 メルヴィルと貧困テーマ ─声を上げる貧者たち

第四章 『大使たち』とジェイムズのアメリカ ─ニューサム夫人「殺し」を読み直す

第五章 「新しいニグロ」と「白人なりすまし小説」 ─ハーレム・ルネッサンスの理想とパラドックス

第六章 記憶のまなざし ─「リンチの時代」のアメリカとフォークナーにおける暴力の表象

第七章 禁酒法時代から読む「ドライ・セプテンバー」

第八章 原罪から逃避するニック・アダムズ ─「最後のすばらしい場所」と楽園の悪夢

第九章 作家の作家の声 ─二つの「音声計画」に見る創作科の声の政治学

第十章 際限のない可能性 ─リチャード・パワーズと『ガラテイア2.2』

著者略歴

編著:福岡 和子
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。
アメリカ文学専攻、とりわけメルヴィル、ホーソーン、ポオなどいわゆるアメリカン・ルネサンスの作家たちを中心に研究。
著書に『「他者」で読むアメリカン・ルネサンス』(世界思想社)など。
編著:高野 泰志
九州大学大学院人文科学研究院准教授。
アメリカ文学専攻、特にヘミングウェイを中心に研究を続けている。
著書に『引き裂かれた身体―ゆらぎの中のヘミングウェイ文学』(松籟社)。

ISBN:9784879842794
出版社:松籟社
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2010年02月
発売日:2010年02月18日