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ギデオンのトランペット

著:アンソニー・ルイス
訳:田鎖 麻衣子

紙版

内容紹介

たった一人で連邦最高裁に訴え、米国の法を変えた、貧しい男の物語。

クラレンス・アール・ギデオン(Clarence Earl Gideon)は、パナマシティのビリヤード場(兼賭博場)に侵入し窃盗を行った罪で訴追され、弁護人の選任を申し出たにもかかわらず裁判所に拒否され、有罪となっていた。州の刑事事件においては、1942年の連邦最高裁によるべッツ対ブレイディー判決により、貧しい重罪事件被告人は、死刑その他特別の事情がある場合以外には、裁判所により弁護人の選任を受ける権利が認められていなかった。ギデオンは、弁護人の援助を受ける権利の侵害を理由として、連邦最高裁に有罪判決の破棄を求めた。

ギデオンが有罪となった州裁判所での事実審理の模様、弁護人がどのように訴訟に備え、全米各州の司法長官や著名な研究者などがどのような役割を果たしたのか、そして連邦最高裁での弁論と結論、それに基づくギデオンに対する新たな事実審理の様子などを、訴訟記録をはじめとする膨大な資料に基づいていきいきと描き出す。アメリカの憲法判例を学ぶための古典的名著。

目次

Chapter1 事件番号「雑八九〇」
Chapter2 ギデオン対コクラン
Chapter3 連邦最高裁の重い扉
Chapter4 弁護人
Chapter5 孤独な闘い
Chapter6 連邦主義という壁
Chapter7 面会室にて
Chapter8 弁護を受ける権利
Chapter9 エイブ・フォータス
Chapter10 援軍
Chapter11 決戦
Chapter12 第一の勝利
Chapter13 燎原
Chapter14 「連邦最高裁」考
終章

参考文献
跋——訳者あとがき
巻末付録——ギデオンが作成した裁量上訴の申立書

著者略歴

著:アンソニー・ルイス
アンソニー・ルイス(Anthony Lewis)
本書執筆当時ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト。同紙ロンドン支局長を務める以前は、タイムズ紙ワシントン支局でアメリカ連邦最高裁及び司法省を担当。1927年、ニューヨーク市生まれ。1948年にハーヴァード大学を卒業後、ニューヨークタイムズ紙の日曜版部門で4年間勤務、その後ワシントン・デイリー・ニューズの遊軍記者となる。その間、連邦の忠誠審査に関する一連の記事で1955年にピューリッツアー賞の国内報道部門およびヘイウッド・ブルーン賞を受賞。1956-57年ハーヴァード大学ニーマン・フェロー。1963年、連邦最高裁に関する報道で二度目のピューリッツアー賞受賞。本書以前の著書にニューヨークタイムズ紙との共著「Portrait of a Decade: The Second American Revolution」がある。執筆時、マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。
2013年3月、ギデオン対ウェインライト判決からちょうど50年後、ケンブリッジの自宅で死去。
訳:田鎖 麻衣子
田鎖麻衣子(たぐさり・まいこ)
弁護士(第二東京弁護士会)。東京大学法学部卒。一橋大学法学研究科博士後期課程修了(博士(法学))。特定非営利活動法人CrimeInfo代表、一橋大学法学研究科非常勤講師。主な著書に、「本当に命を尊ぶために——死刑制度」『人権読本』(岩波ジュニア新書、2001年)、『孤立する日本の死刑』(現代人文社、2012年、デイビッド・T・ジョンソンと共著)、「“死刑は被害者のため”なのか」『「被害者問題」からみた死刑』(日本評論社、2017年)、主な翻訳に、モンロー・フリードマン、アビー・スミス『なんで、「あんな奴ら」の弁護ができるのか?』(現代人文社、2017年、共訳)などがある。

ISBN:9784877987428
出版社:現代人文社
判型:4-6
ページ数:400ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年04月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNAA