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刑事弁護の展開と刑事訴訟

著:大出 良知

紙版

内容紹介

1980年代後半、日本の刑事裁判は絶望的とまでいわれた。それにともない刑事弁護も停滞していた。その停滞を打破すべく1990年に当番弁護士制度が創設された。その後、刑事弁護の発展は目覚ましいものがある。本書は、日本国憲法下の戦後改革における弁護士自治の確立から当番弁護士・被疑者国選弁護制度導入まで、刑事弁護における先陣たちの苦難の歴史を鳥瞰し、刑事司法における刑事弁護の役割を理論的に位置づける。

第1部 日本国憲法下における刑事弁護の歴史
第2部 刑事弁護担い手論の展開
第3部 刑事弁護による改革可能性

目次

第1部 日本国憲法下における刑事弁護の歴史
 第1章 戦後改革における刑事弁護
 第2章 刑事訴訟法の施行前後から平野『刑事訴訟法』前後まで(1950年代)
 第3章 誤判問題の展開から学生公安事件前夜まで(1960年代)
 第4章 学生公安事件から「弁護人抜き裁判法案」まで(1970年代)
 第5章 死刑確定囚再審から被疑者弁護の充実・強化への胎動まで(1980年代)
 第6章 松江人権シンポから司法制度改革審議会まで(1990年代)
 第7章 刑事弁護の質的向上の到達点と課題─21世紀を迎えて

第2部 刑事弁護担い手論の展開
 第1章 1980年代半ばまでの司法動向の特徴と課題
 第2章 刑事弁護による刑事手続改革へ
 第1節 [講演]刑事手続再生への道はあるか
 第2節 [報告レジュメ]刑事弁護の実践的可能性の追求へ
 第3節 [助言者発言]プロレオ刑事訴訟法学の構築を目指して
 第3章 憲法・刑事訴訟法における刑事弁護の位置
 第1節 刑事弁護の憲法的基礎
 第2節 被疑者国選弁護制度実現を目指して
第3部 刑事弁護による改革可能性
 第1章 刑事弁護の隘路の克服へ
 第2章 刑事弁護による「調書裁判」の克服へ
 第3章 被疑者取調問題の展開
 第4章 刑事弁護への期待と課題
 第1節 逆転無罪事件からみえてくる刑事弁護の課題
 第2節 当番弁護士による被疑者弁護の展開
 第3節 保釈の実状と刑事弁護
 第4節 事件報道の現状と刑事弁護の課題
 第5章 刑事司法改革と刑事弁護
 第1節 刑事司法改革の行方
 第2節 『季刊刑事弁護』と刑事司法改革
 第3節 裁判員制度と刑事弁護人の役割

著者略歴

著:大出 良知
大出良知(おおで・よしとも) 
1947年、宮城県生まれ。東京都立大学卒業。同大学大学院博士課程中退。静岡大学、九州大学、東京経済大学で刑事訴訟法の教鞭をとる。「季刊 刑事弁護」創刊時の編集委員。司法制度の歴史にも関心をもち、司法制度改革にかかわっての発言も行ってきた。また、司法書士の歴史の編纂にも携わった。現在は、弁護士、九州大学名誉教授、東京経済大学名誉教授。

ISBN:9784877987381
出版社:現代人文社
判型:A5
ページ数:368ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNAA