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警察の真髄

警察行政法 警察捜査法 警察政策を巡る重要論点

著:小野 正博

紙版

内容紹介

警察業務は、法律を踏まえ、迅速に現実の適正な解を求められる、まことに難しい仕事と言わなければならない。にもかかわらず、日本警察が適切に機能し国民等の信頼を得ているのは、個々人の努力の上に、実は、伝統の支えと縛り、組織の暗黙知と呼ばれるものに負うところも大きいと言える。本書は、出来るだけこれらを明らかにし、日本警察の特色を学者、一般の方にも理解していただけるよう努めた。

目次

PART1 警察組織の真髄――失敗の許されない警察官は、どのようにして立ち向かうべきか
 はじめに
 1 警察官の仕事はまことに難しい
 2 神ならぬヒトは、かなり誤りやすい
 3 経験知・能力を高める―何のために学ぶのか!
 4 神ならぬ警察官が誤らないためには
 5 組織で仕事をすることの意義―真に個人を生かす
 6 組織管理者に求められているものは
 7 最低の管理者とは、最高の管理者とは
 8 アメリカの失敗
 ○ 『市民から感謝されない』

PART2 警察政策の真髄――アメリカの失敗を踏まえ、日本警察の政策の根幹はどうあるべきか
 はじめに
 1 米の検挙一辺倒の方策は日本警察にも悪影響を与えた
 2 日本警察の基本政策は何か
 3 犯罪等多発の問題性と対処
 4 自力本願、他力本願
 ○ 犯罪を甘く見てはいけない① 犯罪多発に苦しみ方策を誤ったアメリカ
○ ロンドンよ、お前もか!

PART3 警察存在の真髄――警察は何のために存在するのか、どうしたら国民に信頼され得るのか
 はじめに
 1 警察への信頼の基調は厚い
 2 警察活動の根幹、〝エトス〟は輸入品ではない
 3 二宮尊徳と小田原藩重職らの共通規範
 4 上杉鷹山「伝国の辞」
 5 保科正之はなぜ江戸城天守閣を再建しなかったのか
 6 戦国大名と領民の間の〝黙契〟(社会契約)
 7 日本警察のエトスは、万民の望んだ武士の規範の上に創設
 8 警察の有り様は国により様々
 9 日本警察の存在意義―〝無用の用〟の構造
○ 皇居の空を見上げて
○ 警察政策の基本② 日本警察はどこから来たか?

PART4 警察捜査の真髄(理論編)――警察捜査の真髄を、一線の刑事も含め多くの関係者が見誤っている
 はじめに
 1 警察捜査の目的、内容は検察捜査を超えるもの
 2 警察捜査の根本は警察法によって授権されている
 3 警察捜査は、警察法、刑訴法の双方を満たすものでなければならない
 4 反論に応えて
 5 警察捜査は刑訴法上も承認・許容されている
 6 刑訴法第189条第1項の意義
○ 行政としての警察捜査① 検察捜査とは異なる警察捜査
○ 行政としての警察捜査② 国民等のための捜査機関の誕生!

PART5 警察捜査の真髄(実務編)――「司法警察論」は理論的に破綻、〝A+Bの警察捜査〟を行うべき
 はじめに
 1 部内でも警察捜査を誤解している人が多いのは何故か?
 2 横井大三氏の論への批判
 3 事例から見る警察捜査
 4 エピローグ…戦前の警察捜査とは?
 ○ 行政としての警察捜査③ 刑事訴訟法も承認する『警察捜査』
 ○ 行政としての警察捜査④ 質問に答えて
 ○ 行政としての警察捜査⑥ 『蹴散らし捜査』を知ってますか?

PART6 警察捜査の真髄(作用編)――警察捜査は、捜査の機能、成果を犯罪等の抑止に生かすべき
 はじめに
 1 独立捜査権の意義
 2 行政としての警察捜査―国民等の安全を図り安心させる捜査
 3 事件、事故の原因の解明と速やかな公表の務め
 4 自動運転への懸念
 5 警察捜査等を律するもの 
 ○ 行政としての警察捜査⑤ 警察捜査を世に活かす! 
 ○ 犯罪を甘く見てはいけない② 1人の犯罪者が政権を崩壊に至らせたベルギー
 ○ 犯罪を甘く見てはいけない③ BREXITは何故起きたのか?

PART7 組織犯罪対策の真髄――警察は組織犯罪にどのように立ち向かうべきか
 はじめに―憲法秩序の中で
 1 広い関心のアンテナを
 2 深い視察
 3 情報の自己決定権説等への批判
 4 極左暴力集団対策の戦略
 5 暴力団対策の戦略
 6 組織犯罪対策の戦略一般
 7 国際テロ対策
 ○ 日常から考える新たな方策

PART8 地域警察の真髄――地域警察は日本の特質…その重要性をどう生かすか
 はじめに
 1 日本警察の総合力
 2 警察政策としての地域警察の意義
 3 地域住民、コミュニティ側から見た地域警察の意義
 4 安全行政全体における地域警察の未来
 5 交番、駐在所の統廃合について
 ○ 『私も納得して取締りをしたい』

PART9 犯罪等予防の真髄(基盤編)――犯罪や事故を予防する論拠の明確化を
 はじめに
 1 犯罪等予防・抑止の本質
 2 犯罪等予防・抑止の主体
 3 警察の犯罪対処能力は
 4 犯罪等予防・抑止における警察の役割
 5 他行政との競合について
 ○ 警察政策の基本① 国民からの要請が出発点
○ 警察政策の基本③ 犯罪等を予防しているのは誰か?

PART10 犯罪等予防の真髄(展開編)――国民等の自助・自律を踏まえた警察活動
 はじめに
 1 歴史的経緯
 2 予防方策の展開
 3 警察官の行動面からの取り纏め
 4 警察の社会的予防方策
  ○ イチロー好き
  ○ 王道を歩む富山県警察

PART11 犯罪等予防の真髄(協働編)――企業と学校を例として
 はじめに
 1 企業論を巡って
 2 企業との協働
 3 学校との協働
○ 畏友 故吉田英法君のこと

PART12 『警察の真髄』総論――自己利益の追求に徹する人の行動に神の手は働かない
 1 人間の為せる業
 2 警察の仕事
 ○ 『無用の用』の構造

『警察の真髄』〈要約版〉

あとがき

著者略歴

著:小野 正博
昭和27年福島市生、醸芳中学校、福島高校を経て
昭和46年京都大学法学部、昭和51年警察庁入庁
後に自治省2年、内閣官房6年余勤務
科学警察研究所副所長、警察政策研究センター所長、
長官官房審議官(生活安全/刑事)等を経て
平成23年内閣衛星情報センター次長にて退官
現在(公財)日本交通管理技術協会 会長
〈主な取組〉
風営法大改正、悪質商法対策、極左対策、バブル期の
金融事件等取締り、地域警察の刷新強化策、サイバー
対策組織の構築、DNA型規則制定、内閣の情報機能
強化策、情報収集衛星プロジェクトの立上げ・運用

ISBN:9784875721444
出版社:啓正社
判型:A5
ページ数:232ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP