出版社を探す

ハンセン病 日本と世界

病い・差別・いきる

編:ハンセン病フォーラム

紙版

内容紹介

「実態をよく解っていない作家による、ハンセン病を題材にした小説などの罪は大きい。」―――加賀乙彦

「ハンセン病をめぐる問題を考えることは、「生命とは何か」「人間とは何か」という問題に還っていく。」―――ドリアン助川

ハンセン病患者の隔離を強いてきた「らい予防法」廃止から、今年で20年。加賀乙彦、松岡正剛、ドリアン助川、杉良太郎、華恵など、多様なフィールドで活躍する面々が、現代に託された負の遺産に光を当て、いのちの諸相を浮き彫りにする。
病者が登場する絵巻や、かつての患者たちの知恵が息づく生活用具の写真など、カラー図版も満載。
人類史とともに歩んできた病いでありながら、語られることの少なかったハンセン病とその諸問題を、多角的に捉えなおす画期的な一書。

「ハンセン病」とは?
らい菌により皮膚や神経が侵される感染症。感染力は極めて弱く、発症した場合にも、投薬療法によって完治可能。しかし、四肢や顔面に著しい変形をきたすこともあるため、病者たちは長らく烈しい差別の対象とされ、療養所への隔離を強いられていた時代があった。かつては「らい病」とも。

目次

目次より

1章 いのちの出会い
◆写真=川本聖哉―――いのちの檻
◆サヘル・ローズ―――私は何も知りませんでした
◆黒崎彰―――孤高の人
◆平沢保治―――怨念を消した後に
◆木下晋―――幻の泪
◆杉良太郎―――遠山の金さん、恵楓園へ行く
◆湯浅洋―――いつか「らい菌」とも共生できる

2章 語りのかたち
◆写真=永田陽一―――日々の道具
◆ドリアン助川―――座布団一枚分の居場所
◆佐藤健太―――「鼻の周辺」の周辺
◆蘭由岐子―――<語りえぬこと>をめぐって
◆加賀乙彦―――忘れてはいけない歴史の真実がある
◆「うた」の生まれた島

3章 こことむこう
◆隠された「共和国」
◆中尾伸治―――ここがふるさと
◆伊波敏男―――病み捨ての戻り道
◆廣川和花―――病者にとっての「生きていく場所」
◆谷岡聖史―――ナグモ用品店、本日も営業中
◆武田徹―――伝染る恐怖をめぐる制度と人情

4章 世界と結ぶ
◆富永夏子―――ひとりと世界の物語
◆華恵―――「不可触民」になるということ
◆浅野直広―――<病い>を撮る
◆岡原功祐―――中国南部の隔離村を訪ねる
◆田南立也―――いまだ闘いの途上
◆ホセ・ラミレス・ジュニア―――ハンセン病とスティグマの肖像
◆バルデノーラ・ダ・クルス・ロドリゲス―――九歳の少女のひとりぼっちの旅
◆ランバライ・シャー―――「リトル・フラワー」から
◆横田洋三―――差別の問題に世界が取組む
◆髙山文彦+笹川陽平―――対談:人類史の負の遺産に挑む
◆松岡正剛―――違例と救済 ~「癩」が歴史を語っている~

ハンセン病アンケート:
池田清彦・菅直人・安倍昭恵・渥美雅子・金子兜太・麿赤兒・村上陽一郎・湯川れい子・香山リカ・制服向上委員会(野見山杏里・木梨夏菜)

ISBN:9784875024705
出版社:工作舎
判型:A5変
ページ数:376ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2016年02月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MBN