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“夢” 哲学 原論[綱要] 人が見る夢の世界、その精神・身体原理

著:南鄕 継正

紙版

内容紹介

本書は、夢に関わる問題を、人類の原点に立ち戻って解明した、学問〔Wissenschaft〕的には初の画期的な著作であり、かつ、学問〔Wissenschaft〕的な原理・原論のレベルでの、初の哲学的講義である。
端的に説けば、「夢の問題」は古く、かつ新鮮であるといってよいであろう。
「古く」とは、精神病理では解決が困難であるゆえ、未だに医師を悩ませ続けてきているからである。
「新鮮」とは、それが学問〔Wissenschaft〕的レベルで問われたことが一度もないからである。
すなわち、その問題を個別的・技能的に問う人はいる。
だが、学問〔Wissenschaft〕的原理・原論としては、学的世界の誰も問うたことはない。
著者、南鄕継正は、ヘーゲル『精神現象学』、ヤスパース『精神病理学総論』の実質を究め、以上の 2 著作の事実的・学問〔Wissenschaft〕的欠陥を乗り越えたといえる。
その実際が、本書に「講義」として見事に展開されている。

目次

まえがき 5
序論「 〝夢〞哲学」とは何か 21
第一節夢は哲学(ヘーゲル・ヤスパース)レベルで学んでこそ実態が明白になる 21
第二節夢の問題は私達人間の認識の生生・生成発展を大本にしてこそ解明できる 29
第三節私達人間が夢を見る原点は端的には社会関係での頭脳的労働にある 31
第四節『 〝夢〞哲学原論〔綱要〕 』目次の解読 38
第一編哲学的に説く「夢とは何か」 53
第一章夢の哲学的な解明に必須の過程を説く 54
第一節観念論哲学の立場では夢の学的解明は不可能である 54
第二節夢の問題を説くには人類に至るまでの脳の唯物論哲学での解明が必須である 56
第三節「生命の歴史」から説く私達人間の認識への発展過程 60
第四節私達人間の認識(映像)は外界の反映と相対的独立に発展する 65
第五節脳は神経を介して労働と睡眠の異なった総括・統括をしている 68
第二章哲学的でない夢の専門家の実力を説く 74
第一節夢に関する専門家の見解を問う 74
第二節人類の歴史的な文化を学ぶことなしに夢の問題は解けない 76
第三節夢の問題の解明は夢を描かされる脳の過程的構造から出立すべきである 80
第三章夢に関わる私達人間の脳の総括・統括の過程的構造を説く 85
第一節私達人間の脳の総括・統括は四重構造の性質を把持する 85
第二節労働の過程的構造に夢の問題を解く伴がある 90
第二編哲学的認識論から説く「夢とは何か」 95
第一章認識論入門 96
第一節認識論とは何か、心理学との関係を少し説く 96
第二節認識論と認識学の違いを説く 99
第三節認識学とは何か、その三大柱を説く 105
第四節認識とは脳が描く映像である 110
第五節南鄕継正講義録「認識は五感情映像である」 114
第二章実践に必要な「認識と言語の理論」 123
第一節相手の立場にたつことの必要性と困難性 123
第二節私達人間はなぜ相手の立場にたたなければならないのか 128
第三節観念的二重化の実力を養うには 133
第四節コミュニケーションとは何か 139
第五節そもそも言語とは何か 143
第三章私達人間の認識の生生・生成発展を説く 150
第一節認識から言語への過程の解明が大事である 150
第二節私達人間の認識と動物の認識の違い 153
第三節私達人間の認識は社会的に創られる 155
第四節私達人間の認識の生生・生成発展を説く 158
第四章認識から言語への過程を説く 163
第一節無限の認識(アタマの中の映像)を一つの言語に集約する 163
第二節言語は社会関係の中で教育される 165
第三節「分かる」ことと「言葉にする」ことは別である 168
第四節認識=映像の成立過程 171
第五節認識=映像はすべて個性的に生生・生成する 175
第六節個性認識=映像を共通認識=映像にするために言語は必要である 177
第七節「分かる」ために必要な観念的二重化の実力 179
第八節言語化できる認識=映像を描くための実力 181
第三編生理学から説く「夢とは何か」 185
第一章認識の発展の過程的構造を脳から説く 186
第一節私達人間の脳には大きな二つの働きがある 186
第二節認識は五感覚器官・脳の成長との相互規定性で発展する 189
第二章夢の問題の解明に必要な「昼間の生理学」と「夜間の生理学」を説く 191
第一節夢は睡眠中に脳が勝手に描くものである 191
第二節脳自体の総括・統括の二つの働きとは 193
第三節脳の総括・統括は当然に弁証法性を把持する 195
第四節活動している「昼間の生理学」と休息している「夜間の生理学」 197
第三章労働と睡眠の関係を説く 202
第一節私達人間の睡眠は労働による疲労の回復のためである 202
第二節「疲れ」と「疲労」は論理的には異なるものである 206
第四編弁証法的に説く「夢とは何か」 211
第一章「生命の歴史」から説く夢を見る実力への過程 212
第一節「夢とは何か」の問い方を問う 212
第二節サルにおける「問いかけ的認識」の芽生えとは何か 214
第三節脳は生きることを総括し、統括するものとして誕生、発達してきた 216
第四節哺乳類一般と特殊哺乳類サルの脳の働きの違いは何か 225
第五節サルは樹上生活で脳の働きが大きく変化してきた 228
第六節サルは樹木への登り下りを繰り返す過程で脳の実力が向上してきた 234
第七節サルは樹上生活によって大地からの反映が当然に不足するようになった 238
第二章夢へと至る認識(映像)の発展過程を説く 245
第一節認識(映像)形成の原点は外界と五感覚器官にある 245
第二節認識(映像)は脳の中で創りかえられる 248
第三節私達人間は教育されて外界を個性的(勝手気まま)に描く実力をつける 252
あとがき 257
付録〔Ⅰ〕観念論と唯物論についての哲学的研鑽を説く 272
付録〔Ⅱ〕海保静子『育児の認識学』の推薦文 280
付録〔Ⅲ〕愛知の中3刺殺・気付きたかった心の闇
(東京新聞 〔社説〕二〇二一年十一月二六日付) 283

著者略歴

著:南鄕 継正
中学時代に『哲学とは何か―カントとヘーゲル』で哲学に憧れを抱き、高校時代に『観念論と唯物論』で弁証法の偉大性を知り、大学入学と同時に弁証法の学習途上で、三浦つとむに私淑。
後に滝村隆一に学的論文の展開法を学び、国家論を哲学の歴史の中で修得す。
加えて武道空手、武道居合、武道合気の武道修業・修行の中で弁証法・認識論の内実を試み、かつ、学的体系化を果たす。
1972 年に旧日本論理学研究会を発足させ、第一級の秀才たちと学的体系化の歴史的再措定に挑む。
現在は『学城』を若手学究をも加えて発刊し続ける。

ISBN:9784874741979
出版社:現代社
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2023年06月
発売日:2023年06月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JMP