出版社を探す

多言語社会ルクセンブルクの国民意識と言語

―第二次世界大戦後から1984年の言語法、そして現代―

著:小川敦

紙版

内容紹介

第二次世界大戦後から1984年の言語法制定に至るまでに焦点を絞り,公用語としてのドイツ語,フランス語に対して,ドイツ語の方言であった土着語が国民意識の醸成とともに整備され,公用語「ルクセンブルク語」となった歴史を分析する.言語イデオロギー・言語意識はどのようにして言説化され,政治化され,制度面に反映されたのか,また単一言語主義と多言語主義がどのように対立・融合したのかを明らかにする.

目次

はじめに
1節 本書の視座と目的
2節 ルクセンブルク語とはどのような言語か
3節 研究の方法
4節 先行研究と本書の位置づけ
5節 本書の構成

1章 国語としてのルクセンブルク語
1節 歴史的な背景
2節 国語としてのルクセンブルク語
3節 1 章のまとめ

2章 三言語併存と言語意識
1節 三言語併存
2節 単一言語性の意識と多言語性の意識
3節 2 章のまとめ

3章 第二次世界大戦後の言語ナショナリズムと正書法改革
1節 第二次世界大戦によるナショナリズムの高揚とルクセンブルク語
2節 マルグ・フェルテスの正書法改革
3節 ルクセンブルク語辞典の正書法改革
4節 3 章のまとめ

4章 1960 年代・70年代と言語学者F.ホフマン
1節 背景
2節 F. ホフマンにとってのルクセンブルク語の位置づけ
3節 4 章のまとめ

5章 1984年の言語法と言語イデオロギー
1節 1984 年の言語法
2節 単一言語性の意識
3節 多言語性の意識
4節 単一言語性と多言語性に見る国民像
5節 5 章のまとめ

6章 近年の社会の変動と言語
1節 問題の設定と背景
2節 三言語使用と言語イデオロギー
3節 近年の人口変動と言語政策
4節 言語使用の複雑化
5節 6 章のまとめ

7章 公用語としてのドイツ語、ルクセンブルク語
1節 問題の設定と背景
2節 三言語使用とドイツ語
3節 小規模自治体の使用言語
4節 7 章のまとめ

おわりに ― 本書のまとめと今後の展望あとがき

参考資料
参考文献

著者略歴

著:小川敦
小川敦
1975年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。大阪大学大学院言語文化研究科講師。専門は社会言語学、言語政策、ルクセンブルク地域研究。
論文や調査報告に「多言語社会ルクセンブルクにおける言語ナショナリズム言説−1984 年言語法議論から」(『Sprachwissenschaft Kyoto』第10 号、2011 年、京都ドイツ語学研究会、単著)、「ヨーロッパ言語共通参照枠、特に複言語教育の考えとドイツ語教育−第二外国語教育への応用の可能性」(『人文・自然研究』第7 号、2013 年、一橋大学大学教育研究開発センター、単著)、「複言語教育政策のありかたをめぐっ
て−イタリア・ヴァッレダオスタ特別自治州とルクセンブルク大公国の政策の比較」(『言語政策』第10 号、2014年、日本言語政策学会、共著)等。

ISBN:9784872594805
出版社:大阪大学出版会
判型:A5
ページ数:262ページ
定価:4900円(本体)
発行年月日:2015年02月
発売日:2015年03月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:CF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:CJ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 4:2AC