宮本研エッセイ・コレクション 4[1982—88] 完結
著:宮本 研
編:宮本 新
内容紹介
戦後を代表する劇作家・宮本研の精神の軌跡――今、わたしたちに問いかける。
宮本研の劇作・脚本等の創作作品以外で、雑誌、書籍、新聞、公演パンフレット等に発表されたほとんどの文章を初収録。収録にあたっては、宮本研の創作と精神の軌跡に沿って、初出発表年ごとに4巻に分け、さらにテーマごとに章立てをして、各章内は原則として発表年月日順に配列した。
このエッセイ・コレクションは、いわば宮本研のもう一つの作品集である。本書は全4巻の完結巻。本文末に宮本研の詳細な「著作品一覧」「各巻別作品一覧」「年譜」を収録。
「石牟礼さんの作品なり文章なりを読んでいると、東京の浅ましさというか軽薄さというものがまざまざと浮かんできます。だから私は、ときどき読み返すことにしているんです。心が洗われるような感じになってくる。そして、自分が東京でやっている仕事、あるいは自分をとりかこんでいる東京の世界みたいなものがいかに軽薄で、まやかしで、インチキで、ツッパリで、言葉のあやだけでものを言ったり感心したり、人をだまして感心させたりしているかということが、よくわかるような気がするわけです。」(本書「演劇における辺境の意味」より)
目次
ⅰ
雪国―小説と劇との間
山河慟哭
ゾラを読む
彼らのあいだの屍
漱石―わたしの場合
大正という時代
男と女たちの物語
時代へのヒステリー
敗戦未然
叫び―ピアフの歌声
残俠の人
『明治の柩』―反近代への出発点
四十年目の夏―『ザ・パイロット』のこと
『ザ・パイロット』―未然形の物語として
山頭火への接近
作者としては
もうひとつの元禄
ⅱ
高校演劇も演劇である
演劇における辺境の意味
東京からの手紙
笑いと諷刺
多幕物を書く
ⅲ
ルイズさんの事
私の山頭火体験
ⅳ
水上勉+木村光一
林黒土小論
*
魔術の人―木村光一さんを語る
見る―見られる
*
時代の花―片岡孝夫
星から来た人―金内喜久夫
写実の果てに―杉村春子
*
30・3センチメートル―織田音也
ⅴ
諫早ひとり歩き
九州に酔う
海の見える風景
落第の記
ごく私的なこといくつか
異形の者
会津の酒に酔う
生きとし生けるものの声
あの五年間のこと―「選考合評」一九六八~七二
ひと夏の夢ではなく
*
この手でわが青春の記念碑を―校史編纂についてのアピール
七年で消えた学校のこと
北京残影
一冊の本/コオロギの喧嘩/敗戦とその前後/紙の碑
追跡幻想
紹興にて
時を曳く
ⅵ
活気あふれる『どん底』の住人たち―B・A・ギリャロフスキー著『帝政末期のモスクワ』
補遺
横光利一論―『旅愁』とその背景に就いて
『赤い靴』を観て
西遊雑記
あとがき……………宮本 新
著作品一覧
各巻別作品一覧
年譜
付属物
「著作品一覧」「各巻別作品一覧」「年譜」