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宮本研エッセイ・コレクション 3[1974-81]中国と滔天と私

著:宮本 研
編:宮本 新

紙版

内容紹介

戦後を代表する劇作家・宮本研の精神の軌跡――今、わたしたちに問いかける。
宮本研の劇作・脚本等の創作作品以外で、雑誌、書籍、新聞、公演パンフレット等に発表されたほとんどの文章を初収録。収録にあたっては、宮本研の創作と精神の軌跡に沿って、初出発表年ごとに4巻に分け、さらにテーマごとに章立てをして、各章内は原則として発表年月日順に配列した。
このエッセイ・コレクションは、いわば宮本研のもう一つの作品集である。本書は全4巻のうちの第3巻。
「少年だったとはいえ、侵略戦争下の中国に六年を過ごしたことの意味を、大げさにいえばそれこそ一日も考えないでくらすことはなかった戦後の三十年というものがわたしにはあり、だから中国のことについては書こうにも書けず、しかし書かずにはいられず、とうとう書いてしまい、そして晴れ晴れとした顔で中国の土地を歩いているわたしとはいったい何者なのか――旅の間じゅう、中国の人たちのあたたかさにつつまれながら、しかし、わたしの心はいつもどこかで冷えていた。」(本書「中国と滔天と私」より)

目次

  ⅰ 
兵士たちの物語
滔天とわたし
『夢・桃中軒牛右衛門の』あとがき
断片二、三
日記から
 旅公演/南北と近松/長崎街道/手前味噌/お岩稲荷/お岩稲荷・続/お岩と伊右衛門/ジンクス・プレイ/冬の幽霊/幽霊の演技/
 女形と女優/フランケンシュタイン国境の長いトンネル
覚え書―補遺
そこからの出発、そこへの回路
注釈―二、三
「ダン吉」が選んだ冒険
マンガと実在の接点

  ⅱ
トンネルをすぎれば雪国か!
革命の演劇と演劇の革命
新劇・その現在と未来
形姿と律
五体ために裂く
  
  ⅲ
亡国に至るを知らざれば即ち亡国―谷中村と三里塚
孫文と宮崎滔天
魯迅を読む
寒村さんのこと二、三
鹿鳴館と伊藤博文
昌平さんとの六年間
裏がえしの祝祭劇―ええじゃないか
こわれた時計のこと

  ⅳ
私小説木下順二
巨大な矛盾律としての存在
一翻訳者としての駄弁
老舎のことなど
勉さんの芝居
父は永遠に悲壮である
運河のほとりで
    *
女の中の女―新橋耐子
豪徳さんの情景―坂本長利
    *
悼―小苅米晛

  ⅴ
フェアプレーはまだ早い
サクラサクラは死のサイン
勝馬投票初陣始末
悪魔はどこだ?
ホシはどこだ?
地下室のメロディー
十石峠にまぼろしを見た
WHAT DO YOU WANT?
ここまでの道
つきまとう影法師
あいまいな記憶
ゴリラのおはなし
風景としての寺
8・15と私の原理
南島小景
    *
チャイルド・ハロルドの旅
中国と滔天と私
三十一年ぶりの北京
わが日録
わが日録(没原稿)
北京の秋
紹興の雨
もう一枚の地図

  ⅵ
偉大な革命家の壮大な生涯―『宮崎滔天全集』全五巻
転形期の肉体―花田清輝『ものみな歌でおわる』(木六会)

 あとがき……………宮本 新

著者略歴

著:宮本 研
1926.12.2—1988.2.28
劇作家。熊本県生まれ。幼少期を天草、諫早で過ごし、1938年父親の勤務地の北京へ渡り、44年帰国。50年、九州大学経済学部卒業。高校教員を経て法務省に勤務。在職中に演劇サークル「麦の会」で作・演出等を担当、演劇界へ。62年に法務省を退職し、以後劇作家一本に。同年、『日本人民共和国』『メカニズム作戦』で第8回岸田戯曲賞、翌63年『明治の柩』で芸術祭奨励賞を受賞。
その他の作品に、『僕らが歌をうたう時』『人を食った話』『五月』『反応工程』『はだしの青春』『ザ・パイロット』『美しきものの伝説』『阿Q外傳』『聖グレゴリーの殉教』『櫻ふぶき日本の心中』『夢・桃中軒牛右衛門の』『からゆきさん』『ほととぎす・ほととぎす』『冒険ダン吉の冒険』『花いちもんめ』『ブルーストッキングの女たち』『次郎長が行く』『うしろ姿のしぐれてゆくか』など。『筑紫の恋の物語』(近松)、『雪国』(川端康成)、『嘆きのテレーズ』(ゾラ)などの脚色も。エッセイは500篇を超える。

ISBN:9784871960687
出版社:一葉社
判型:4-6
ページ数:368ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2018年12月
発売日:2018年11月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:DS
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1FPJ