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科学的リテラシーを育成する理科教育の創造

編著:鶴岡 義彦

紙版

内容紹介

近年注目される「科学的リテラシー」概念の意味を起源から探り、その観点から理科教育の現状分析を行って、科学に関する豊かで深い理解と社会参画力を育成する理科教育の創造を目指した書。

目次

 序 章 理科教育の価値、教育界の動向、そして科学的リテラシー
  1.理科教育の価値・目的 
  2.教育界の新たな動向と理科教育  
  3.科学的リテラシーへの注目  
第Ⅰ部 科学的リテラシーの誕生と展開
 第1 章 アメリカにおける初期の科学的リテラシー論
  1.初期科学的リテラシー論の位置:序を兼ねて  
  2.科学的リテラシーの語義と構成要素  
  3.科学的リテラシー論者の新カリキュラム批判とその背景  
  4.本章の結語  
 第2 章 科学的リテラシーとSTS 教育との結合
  1.科学的リテラシー論とSTS 教育との結合に向かって  
  2.「新カリキュラム」の第2 世代に見るSTS 教育の源流  
  3.STS 教育の2 つの立場  
 第3 章 プロジェクト2061 と全米科学教育スタンダードおよびOECD-PISA
  1.プロジェクト2061  
  2.全米科学教育スタンダード  
  3.OECD-PISA  
 第 4 章 英国「21 世紀科学」における科学論的内容の取り扱い
  1.問題と目的  
  2.科学的リテラシーと科学論的内容  
  3.英国科学教育と「21 世紀科学」  
  4.IaS の具体的事例とその特徴  
  5.結論  
第Ⅱ部 我が国における科学的リテラシーの現状と課題
 第 5 章 高校共通必修科目・理科Ⅰ「人間と自然」に対する履修者と教師による評価
  1.「理科Ⅰ」の特色と本研究の目的  
  2.2 つの調査の概要  
  3.調査結果及び考察  
  4.結論  
 第 6 章 純粋自然科学の知識があればSTS リテラシーもあると言えるか
  1.はじめに  
  2.調査方法  
  3.分析方法  
  4.調査の結果及び考察  
  5.おわりに  
 第 7 章 日本におけるSTS 教育に関する研究・実践の傾向と課題
  1.はじめに  
  2.STS 教育研究・実践の分析  
  3.日本のSTS 教育研究・実践の時系列的な傾向の分析  
  4.日本のSTS 教育研究・実践の個別の視点の分析  
  5.STS 教育の課題  
  6.おわりに  
第Ⅲ部 科学的リテラシー育成を目指した理科教育の諸考察
 第 8 章 小学校「風とゴムの力の働き」の問題点と改善の方策─ 主としてエネルギー・エネルギー問題の視点から考える─
  1.序言  
  2.学習指導要領等における単元「風やゴムの働き」の位置づけ  
  3.問題の所在と改善の方向性  
  4.本単元の改善方策  
  5.結語  
 第 9 章 STS 教育プログラムの開発・実践と生徒の意思決定の変容過程 168
  1.研究の目的と方法  168
  2.プログラム「ヒトクローンは是か非か」の開発と実践  
  3.プログラム実践の前後における意思決定の変容  
  4.生徒個々人レベルの意思決定変容過程  
  5.総括  
 第10 章 理科教育における生命倫理の授業開発
  はじめに  
  1.授業構築の柱  
  2.授業の概要  
  3.作成した授業案と授業用プリント  
  おわりに  209
 第11 章 責任ある環境行動で必要となる科学的リテラシー
  1.レイチェル・カーソンの警告  
  2.責任ある環境行動とは  
  3.ケーススタディ:プラスチック汚染問題  
  4.プラスチック汚染問題を事例とした科学的リテラシー  
  5.責任ある環境行動で必要となる科学的リテラシーを考える  
 第12 章 3.11 以後のSTS リテラシーとその育成
  1.はじめに  
  2.科学的リテラシーの洗礼 
  3.科学や理科を外から見る視点  
  4.初等教育実践とその先祖捜し  
  5.科学的リテラシー/ STS リテラシーの拡張  
  6.東日本大震災後の実践提案と試行  
  7.おわりに  
第Ⅳ部 科学的リテラシーを育成する参加型手法の提案
 第13 章 意思決定・合意形成を促す学習プログラムの必要性と参加型手法からの示唆
  1.はじめに  
  2.参加型手法の登場  
  3.日本への導入可能性  
  4.学校教育から見た課題と現状  
  5.学習プログラムの必要性  
  6.おわりに  
第14 章 参加型手法「コンセンサス会議」を活用した「生殖補助医療の法制化」についての学習プログラムの開発と実践
  1.はじめに  
  2.コンセンサス会議とは  
  3.コンセンサス会議の標準的な手続き  
  4.コンセンサス会議を教育で活用するための簡略化  
  5.コンセンサス会議を応用した学習プログラム「生殖補助医療の法制化」の開発   6.「生殖補助医療の法制化」のコンセンサス会議の実施にあたって  
  7.おわりに 
 第15 章 参加型手法「シナリオワークショップ」を活用した「未来のエネルギー政策」についての学習プログラムの開発と実践
  1.はじめに  
  2.シナリオワークショップとは  
  3.シナリオワークショップの標準的な手続き  
  4.シナリオワークショップを教育で活用するための簡略化  
  5.シナリオワークショップを応用した学習プログラム「未来のエネルギー政策」の開発  
  6.「未来のエネルギー政策」のシナリオワークショップの実施にあたって  
  7.おわりに  
 第16 章 参加型手法「市民陪審」を活用した「人工甘味料」についての学習プログラムの開発と実践
  1.はじめに  
  2.市民陪審とは  
  3.テーマとした「人工甘味料」について  
  4.学習プログラムの概要  
  5.学習プログラムの試行結果と考察  
  6.おわりに  
 第17 章 参加型手法「フューチャーリサーチ」を活用した「デザイナー・ベビー」についての学習プログラムの開発と実践
  1.はじめに 
  2.学習プログラムの開発手順  
  3.学習プログラム・教材冊子の内容  
  4.学習プログラムの試行結果と考察  
  5.おわりに  

著者略歴

編著:鶴岡 義彦
現在、千葉大学名誉教授、千葉大学・敬愛大学等非常勤講師、NPO法人・ちばサイエンスの会理事長。
東京教育大学大学院修士課程修了。筑波大学博士課程大学院単位取得退学。理科教育学専攻。島根大学助手、千葉大学助教授等を経て教授。2017年3月退職。教育学部副学部長、附属中学校長、小学校教員養成課程長等を歴任。日本理科教育学会理事・関東支部長・教育課程委員会委員長を歴任し功労賞受賞、日本科学教育学会理事・監事を歴任し功労賞受賞、日本生物教育学会理事・常任理事等を歴任。また、文部科学省中央教育審議会専門委員、大学設置学校法人審議会大学設置分科会専門委員、大学基準協会大学評価委員会教育学系専門評価分科会委員等を歴任した。地元では、千葉県・魅力ある高等学校づくり実行委員会委員長、千葉県児童生徒教職員科学作品展(中学高校科学論文の部)審査員長、エコスクール千葉コンテスト審査員長、千葉市教職員研修検討委員会委員長等を歴任した。

ISBN:9784866920436
出版社:大学教育出版
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNU
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:JNW