伝統演劇の破壊者 川上音二郎
著:岩井 眞實
紙版
内容紹介
オッペケペー節、書生芝居で知られ、毀誉褒貶相半ばする人物である川上音二郎。しかし、日本近現代演劇開拓の先駆者としての功績は大きい。
時代の機をみるに敏で、最新事件や日清戦争劇の上演で新演劇の基礎を確立。妻の貞奴とともに欧米を巡業し、そこで観たシェークスピア劇や児童劇などの西洋演劇を積極的に日本に紹介、演劇改革を行った。さらに近代的舞台装置を取り入れ、帝国座を建設するなど、劇場改革も行った。
川上音二郎の破天荒で波瀾万丈な人生を辿り、その功績を演劇史上に位置づける。
目次
誕生から博多出奔
不思議な生まれ、不思議な名前/幼年時代/博多出奔
自由民権の壮士
自由民権運動とは/演説遣い/若き運動家たち/自由童子/講釈師から落語家へ
書生芝居への道
歌舞伎に出演する/改良ニワカ/「改良」の時代/明治二一年・二二年博多
角藤定憲
一座旗揚げ
「明治二十年国事犯事件顚末」/書生ニワカ/書生芝居/中村座進出
「オッペケペー節」/新演劇、市民権を得る/書生芝居の余波/第一回洋行
明治二六年博多/「意外」シリーズ/日清戦争劇
絶頂から転落へ
明治二八年博多/川上座/選挙に出る/二度目の落選/逃避行
欧米漫遊
サンフランシスコへ/シカゴからボストン/ワシントン、ニューヨーク、そしてロンドン
パリ万博/再び欧州へ
正劇運動
「オセロ」/「マーチャント・オブ・ヴェニス」と「ハムレット」/明治三七年博多
二代目市川左団次と川上/明治四〇年博多
帝国座、そして死
川上革新興行/自由劇場と文芸協会/帝国座/明治四三年、四四年博多
明治四四年博多、そして死
川上音二郎年譜
索引