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人文知のカレイドスコープ Ⅵ

富山大学人文学部叢書 Ⅵ

編:富山大学人文学部

紙版

内容紹介

朝鮮語の處格と属格は形態が異なるとされるが、属格がしばしば[e]と実現する場合があり、處格と属格の区別がつかなくなる。このような現象が生じるようになった背景について探る(上保論文)。日本語の書き文字における文章ジャンルの差に注目し、言語形式の運用について考察し、日本研究におけるジャンルへの着目がもたらす可能性と今後の課題について述べる(川島論文)。北衙と蕃将のありさまをおいかけることで、唐の帝国的支配の構造と崩壊の理由を明らかにし、唐を揺るがした安史の乱の原因について考察する(林論文)。日本思想の軸のひとつに「生成」という概念がある。貝原益軒の思想を紹介することで、日本思想の特質の一端を明らかにする(田畑論文)。韓国のクレイアニメや脱北者の手記などのテクスト化された脱北者の語りから、語られることと語られないことを考察(和田論文)。漢詩人岡崎藍田がみた中国を、藍田の漢文による旅行記『燕鴻越鳥縦游日誌』と漢詩集『燕鴻越鳥詩艸』より読み解く(大野論文)。遺跡から出土する古代の絵馬研究の実際と、明らかにされてきた初期の絵馬の姿について述べる(次山論文)。

目次

巻頭言

第1章 東アジアの言語を探究する
朝鮮語の處格と属格  上保 敏(東アジア言語文化コース[朝鮮言語文化])
ことばの使われる「場」 ―文章ジャンルと文法形式―  川島拓馬(東アジア言語文化コース[日本語学])

第2章 東アジアの思想と歴史
北衙と蕃将 ―唐の帝国的支配の構造―  林 美希(歴史文化コース[東洋史])
「生成」する者としての人間 ―貝原益軒(1630-1714)の思想をもとに―  田畑真美(哲学・人間学コース[人間学])

第3章 朝鮮半島の分断が遺した問い
語られることと語られないこと ―テクスト化された脱北者の語り―  和田とも美(東アジア言語文化コース[朝鮮言語文化])

第4章 書物が語る 遺物が語る
帝亡ほろびて風雅在り ―近代富山の漢詩人・岡崎藍田が見た中国―  大野圭介(東アジア言語文化コース[中国言語文化])
絵馬はいつから? ―出土絵馬の研究と初期の絵馬―  次山 淳(歴史文化コース[考古学])

ISBN:9784866271309
出版社:桂書房
判型:A5
ページ数:89ページ
定価:1300円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VS