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箏を友として

評伝 宮城道雄〈人・音楽・時代〉

著:千葉 優子

紙版

内容紹介

《春の海》の作曲家のすべて

藤原道山さん(尺八演奏家)推薦!
「目にハンディを持ちながらも、果敢に音楽を追究していった日本音楽界のパイオニア。私の憧れである。
その生涯は波乱に満ちているが、生きた時代とともに、さまざまな宮城道雄像がありありと浮かんできた。」

《春の海》ほか数々の名曲の作曲家として知られ、日本音楽を現代に生まれ変わらせた不世出の箏曲家・宮城道雄(1894〜1956)。20世紀前半の激動を生き抜き、作曲・演奏・楽器開発・教育・著述にマルチな才能を発揮した天才芸術家の生涯を、人間味あふれるエピソードをまじえながら生き生きと描き切った決定版評伝。

目次

はじめに

第1章 箏の道へ──生い立ちと音楽的環境
箏の道へ
正統なる芸の伝承
西洋音楽の産湯につかって

第2章 韓国にて
韓国での生活
処女作《水の変態》の作曲
邦楽近代化の原点
自然描写の達人
中菅から宮城へ
第二作《唐砧》──和声への挑戦
大検校への道
上京に向けての出会い

第3章 新日本音楽の旗手
「宮城道雄自作箏曲第一回演奏会」の衝撃
優位にあった邦楽界
新生洋楽界
大正八年に始まる日本の音楽の近代化
「新日本音楽大演奏会」
コンテンポラリー・ミュージックを愛す
洋楽の台頭
邦楽界の危機感

第4章 西洋音楽に魅せられて
西洋音楽修業
西洋音楽オタク
西洋音楽に触発されて──《手事》の妙

第5章 心を描く《春の海》
作曲の基本方針
《春の海》の革新性
国境を越えた友情──ルネ・シュメーとの共演
心をうつす音楽──イメージ描写

第6章 自然を愛でる随筆家──著作と作曲法
内田百閒との交友
素顔の宮城道雄
自然を手本に
著作の資料的価値
宮城道雄の作曲法

第7章 声楽曲と尺八手付
器楽曲と声楽曲
和洋融合の《秋の調》──新様式の歌曲
尺八手付事始め
尺八や胡弓を歌の代わりに
ソプラノ歌手をイメージして
歌は世につれ、世は歌につれ

第8章 童曲と愛娘よし子
童曲の誕生
童謡運動
童曲の音楽的特徴
ステージ用の童曲
愛娘よし子──元祖童謡アイドル
散っていった花──「夢」と《白玉の》

第9章 教授法の近代化
口伝から楽譜へ
免状制度の改革
東京音楽学校教授から東京藝術大学講師へ
ラジオ講座と教則本の開発
新旧教授法の妙

第10章 演奏における変革
古典を現代に甦らせる演奏
演奏芸術
鑑賞音楽への変貌

第11章 新楽器の開発
大・小の十七絃
グランド箏の八十絃
宮城胡弓の不思議
簡便な箏の開発──短琴
生き残った十七絃

第12章 大編成の作品群
新様式の合奏曲と合唱合奏曲
雅楽の研究

第13章 新舞踊と新歌舞伎──付随音楽
新舞踊と宮城曲
昭和二一年の歌舞伎音楽群
《源氏物語》の音楽

第14章 「新」による伝統の再生
新歌舞伎とは
「俗曲改良」から「新」へ
楽器にみる改良から新へ
価値観の変容

第15章 マルチ作曲家の悲劇
「古典を知らぬ宮城」──古典曲への箏手付
「西洋音楽の安易な模倣」
世代を超えた真の芸術

第16章 作曲におけるジレンマ
伝統と革新、芸術性と大衆性のはざまで
宮城道雄の生きた時代

第17章 謎の死
西洋音楽の本場へ
箏独奏曲の輝き
寝台急行「銀河」

箏と私 宮城道雄


あとがき
宮城道雄年譜
索引

著者略歴

著:千葉 優子
武蔵野音楽大学大学院修士課程修了(音楽学専攻)。現在、(一財)宮城道雄記念館資料室室長。慶應義塾大学、青山学院大学、フェリス女学院大学各講師。2007年、『ドレミを選んだ日本人』(音楽之友社)で第23回ロゲンドルフ賞を受賞。『箏曲の歴史入門』『日本音楽がわかる本』(以上、音楽之友社)ほか著書論文多数。「宮城道雄の世界」(NHKラジオ第2にて26回放送)など放送講演活動もおこなう。

ISBN:9784865591316
出版社:アルテスパブリッシング
判型:4-6
ページ数:352ページ
価格:2200円(本体)
発行年月日:2015年11月
発売日:2015年11月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AV
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ