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コロナ禍で障害のある子をもつ親たちが体験していること

他著:児玉真美
他著:猪瀬浩平
他著:福井公子

紙版

内容紹介

炙りだされているのは、それ以前から私たちの社会にあった矛盾や分断。

コロナ禍で障害のある子をもつ親たちは何を体験し、何を思い、何を感じてきたのか……。
「こんな時だから仕方がない」と置き去りにされないために――。
ささやかな抗いとして、7人の親たちが語る。

目次

はじめに  児玉真美

第1章 「ほなって、しょうがないでぇなぁ」で、本当にいいの?――地方で知的障害のある子とコロナ禍を生きる私たち  福井公子
 もう二年/自由になれない/始まり/アンケートから/マスクがつけられない/不要不急ってなんだろう/行政への要望/「読者の手紙」への投稿/パイオニア世代/ついに来たか!/見えない存在  

第2章 医療的ケアとともにある生活を脅かすコロナ禍  根本希美子
 コロナ禍になって/侑弥の誕生――医療的ケアとともにある生活のはじまり/できないことを支える医療的ケア/NICUから親子で過ごすおうちへ/かけはしねっとの立ち上げ/医療的ケア児と家族を支援する法律ができました/おわりに

第3章 コロナも予測不能!  重度自閉症のたっくんも予測不能!!  たっくんママ
 きょうだいはヤングケアラー?/自閉症と診断/希望が見えない日々/新型コロナで生活はめちゃくちゃに/新生活がスタート
 ■コラム オミクロン株でまた生活は大混乱 

第4章 障がいも性格もさまざま 三きょうだいの母は黙っていられない  浅野美子
 わが家の状況/コロナ禍と三きょうだい/平時でも厳しい緊急時の支援/コロナ禍という特殊な状況の中で/親子三人での感染/よかねっとあいちアンケート・交流会で出た声/障害児者の感染者数はカウントがされていない!  

第5章 コロナ禍で娘の入院に付き添って  madoka
 はじめに/娘のこと――コロナ以前/コロナ禍での手術/病室での付き添い/付き添い入院の現状その背景/付き添う親への支援に望むこと
 ■コラム コロナ禍のきょうだい児

第6章 家族依存の福祉とコロナ禍――仲間と親たちの体験と運動から  新井たかね
 コロナ禍で緊急入院した娘の体験から/コロナ病棟に入院した二人の女性の体験から/「コロナ禍による障害者と家族への影響調査」(二〇二〇年七月~一一月)から/「入所施設を削減し地域移行を進める」という国の方針のなかで/「だれと、どこでくらすのか」を選択できる多様な暮らしの場を求めて/かけがえのない人生を応援する福祉労働の地位の向上を――障害者・家族の切実な願い/おわりに

第7章 コロナ禍に炙り出されてきたもの  児玉真美
 「こんな時だから仕方がない」という思考停止/医療と福祉の家族依存/コロナ禍以前から追い詰められていた親たち/「迷惑な患者」問題/英国メンキャップのキャンペーン/もし海が感染したら……/英国では知的障害のある人たちの死亡率は一般の四倍/必要なのは「合理的配慮」/現場の看護師の声/人権の問題としての外出禁止と面会制限/なぜ親だけがゼロリスクを求められるの……?/守る会のアンケートから/全国遷延性意識障害者・家族の会のアンケートから/重症児者施設へのアンケートから/家族はケアにおける不可欠なパートナー/「命を守るために」と心が殺されていく……/家族への真逆の扱いが意味するもの/障害のある人と家族から関係性を剥奪する無関心  

見捨てられた体験を未来に差し出す――本書に寄せて  猪瀬浩平 

おわりに  児玉真美

著者略歴

他著:児玉真美
児玉真美 (こだま・まみ)
1956年生まれ。京都大学文学部卒。カンザス大学教育学部にてマスター取得。中学、高校、大学で英語を教えた後、現在、著述業。一般社団法人日本ケアラー連盟代表理事。長女に重症心身障害がある。
著書、訳書に、『私は私らしい障害児の親でいい』(ぶどう社、1998)、『アシュリー事件――メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』(生活書院、2011)、『新版 海のいる風景――重症心身障害のある子どもの親であるということ』(生活書院、2012)、『生命倫理学と障害学の対話──障害者を排除しない生命倫理へ』(共訳、生活書院、2014)、『殺す親 殺させられる親――重い障害のある人の親の立場で考える尊厳死・意思決定・地域移行』(生活書院、2019)など。
他著:猪瀬浩平
猪瀬浩平(いのせ・こうへい)
 1978年、埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。大学在学中の1999年から見沼田んぼ福祉農園の活動に巻き込まれ、そのうちに見沼田んぼ福祉農園事務局長になる。2007年から明治学院大学教養教育センター専任教員としてボランティア学を担当。NPO法人のらんど代表理事、見沼・風の学校事務局長などをつとめる。
 著書に、『むらと原発――窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと』(単著、農山漁村文化協会、2015)、『復興に抗する――地域開発の経験と東日本大震災後の日本』(共著、有志舎、2018)、『分解者たち――見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院、2019)、『ボランティアってなんだっけ?』(岩波ブックレット、2020)など。
他著:福井公子
福井公子(ふくい・きみこ)
 1950年生まれ。徳島県阿波市在住。重い自閉症で知的障害のある46歳の次男と暮らす。2005年から阿波市手をつなぐ育成会会長。月に一度、地元の保健センターで「おしゃべり会」を開催し、親同士の自由な語り合いの場や家族支援ワークショップなどを企画している。2018年・2020年「ケアラー支援」講演会を開催、2022年ケアラー手帳「障害のある人をケアしているあなたへ」を発行。
 著書に、『障害のある子の親である私たち――その解き放ちのために』(生活書院、2013)。

ISBN:9784865001433
出版社:生活書院
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年07月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS