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埋葬行為と社会的記憶からみた古墳時代の終焉

著:荒井啓汰

紙版

内容紹介

古墳はまぎれもなく墓であり、そこには被葬者の性格や社会関係だけでなく、生きている側の意図や主体性が介在する。本書は、実際に埋葬をおこなう生者の側に焦点を当て、「埋葬行為」と「社会的記憶」の2つの概念から古墳時代後・終末期の埋葬施設を検討することで、古墳時代の終焉とその社会変化に接近するものである。常総地域における箱式石棺の埋葬行為や、東日本における横穴式石室の利用期間や人骨出土状況の検討を中心に、6・7世紀における「祖先」や過去の死者への多様な行動の実態を明らかにする。

目次

序 章 本書のねらいと立場
 第1節 本書の目的と立場
 第2節 本書の構成
 第3節 用語と概念規定
第Ⅰ部 埋葬行為の理論的枠組み
第1章 古墳時代後・終末期の埋葬をめぐる現状
 第1節 古墳時代後・終末期における埋葬とその儀礼
 第2節 古墳時代後・終末期の社会的状況
 第3節 古墳時代後・終末期の埋葬研究の現状
第2章 2つの理論的枠組み 埋葬行為と社会的記憶
 第1節 古墳時代後・終末期の埋葬をめぐる2つの問題点
 第2節 埋葬行為の理論的枠組み
 第3節 社会的記憶の理論的枠組み
 第4節 埋葬行為と社会的記憶
第Ⅱ部 古墳時代後・終末期の埋葬行為とその変化 ケーススタディとしての常総地域
第3章 常総地域の地域性と一石棺内複数埋葬の展開
 第1節 常総地域の地域的特性と埋葬施設
 第2節 常総地域における地域区分と時期区分
 第3節 一石棺内複数埋葬の導入と展開
 第4節 一石棺内複数埋葬の背景
第4章 箱式石棺の埋葬方法とそのプロセス
 第1節 埋葬方法に関する問題と視点
 第2節 箱式石棺における埋葬の分類と検討
 第3節 埋葬プロセスとその評価
 第4節 二次葬的状況をめぐる評価
第5章 箱式石棺における埋葬行為とその変化
 第1節 視座と方法
 第2節 埋葬行為に関する分類と概念
 第3節 各要素の傾向と変遷
 第4節 箱式石棺の埋葬行為とその変化
 第5節 常総地域における埋葬行為の変容 石棺と石室
第6章 埋葬施設の破壊と再構築 常総地域を中心に
 第1節 埋葬施設の破壊と再構築をめぐる論点の整理
 第2節 埋葬施設の破壊と再構築の事例
 第3節 埋葬施設の破壊と再構築をめぐる社会的状況
 第4節 日本列島における古墳の破壊と再利用
第Ⅲ部 横穴式石室における埋葬行為と社会変化
第7章 東日本における横穴式石室の埋葬方法
 第1節 横穴式石室の埋葬方法をめぐる視点
 第2節 各地域における人骨出土石室の検討
 第3節 人骨出土状況からみた埋葬方法の分析
 第4節 先葬者に対する儀礼的行為
 第5節 東日本の横穴系埋葬施設と埋葬方法
第8章 関東地方における横穴式石室の埋葬行為
 第1節 埋葬行為とその視点
 第2節 各要素の分布と傾向
 第3節 各地域における階層的傾向
 第4節 関東地方における埋葬行為の特質
第9章 横穴式石室の利用期間と追葬行為
 第1節 横穴式石室における追葬をめぐる議論
 第2節 東海地方東部における横穴式石室の利用期間
 第3節 横穴式石室の長期利用とその背景
 第4節 追葬行為者からみた横穴式石室の利用
第10 章 埋葬行為からみた薄葬化の一側面
 第1節 終末期群集墳における薄葬化をめぐる課題
 第2節 埋葬施設の小型化と埋葬行為
 第3節 群集墳における追葬と再利用の実態
 第4節 終末期群集墳における薄葬化と追葬・再利用の関係
第11 章 古墳時代後・終末期における「祖先」の社会的役割
 第1節 「祖先」の概念とその意義
 第2節 古墳時代研究における「祖先」
 第3節 文献史学からみた「祖先」
 第4節 古墳時代後・終末期における「祖先」のあり方
終 章 埋葬行為と社会的記憶からみた7世紀の社会変化
 第1節 古墳時代後・終末期における「過去の死者」の位置付け
 第2節 先葬者への行為と7世紀の社会変化
 第3節 結論と課題
参考文献一覧
掲載古墳一覧
図版出典
あとがき

著者略歴

著:荒井啓汰
1995 年 栃木県那須烏山市生まれ。
2023 年 筑波大学大学院人文社会科学研究科一貫制博士課程修了
博士(文学)。
現在 栃木県立博物館研究員。

ISBN:9784864451789
出版社:六一書房
判型:B5
ページ数:289ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ