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周縁領域からみた秦漢帝国

編:高村 武幸

紙版

内容紹介

 我々は、秦・漢の周縁領域の存在とその変遷が帝国に与えた影響と、秦・漢の領域に組み込まれたことによる周縁領域自体の変容を総合的に解明する端緒をつかむべく、周縁それ自体の解明にとどまらず、周縁から全体をみようとする我々執筆者間の共通認識のうえで、それぞれの個別の問題関心に即した研究を行ってきた。本書はそのひとまずの中間報告として、各参加者の論考を収載した論文集である。各論考の内容上のゆるやかな関連性から、「秦の周縁領域」「漢代西北部周縁領域の考察」「周縁の地域社会とその構成員」の三部構成とした。周縁・辺境関連の地域史研究にとどまらず、政治史・制度史・文化史・家族史・考古学等との分野にも関連する内容となっており、執筆者一同、広く中国古代に関心をもつ研究者に目を通していただきたいと願っている。

目次

前 言
第1 部 秦の周縁領域
 渡邉 英幸 「戦国秦の国境を越えた人びと ─岳麓秦簡『為獄等状』の「邦亡」と「帰義」を中心に─」
 目黒 杏子 「秦代県下の「廟」─里耶秦簡と岳麓書院蔵秦簡「秦律令」にみえる諸廟の考察─」
第2 部 漢代西北部周縁領域の考察
 廣瀬 薫雄 「漢代酒泉郡表是県城遺跡を探して ─草溝井城調査記─」
 青木 俊介 「漢代肩水地区A32 所在機関とその業務関係 ─肩水金関と肩水東部を中心に─」
 髙村 武幸 「前漢後半期以降の河西地域に対する物資供給 ─漢代辺郡の存在意義を考える手がかりとして─」
第3 部 周縁の地域社会とその構成員
 鈴木 直美 「漢代フロンティア形成者のプロフィール ─居延漢簡・肩水金関漢簡にみる卒の年齢に着目して─」
 飯田 祥子 「公孫述政権の興亡 ─両漢交替期地域政権の一事例─」
 鷲尾 祐子 「終の棲家 ─女性の帰属に関する試論─」
後 記

著者略歴

編:高村 武幸
1972 年東京都大田区生まれ。明治大学大学院文学研究科博士後期課程(博士・史学)。慶応義塾大学・国士舘大学・日本大学非常勤講師、日本学術振興会特別研究員、三重大学人文学部准教授を経て、2014 年より明治大学文学部准教授。
主要著作に『漢代の地方官吏と地域社会』(汲古書院、2008 年)、『秦漢簡牘史料研究』(汲古書院、2015 年)、「里耶秦簡第八層出土簡牘の基礎的研究」『三重大史学』14(2014 年)などがある。

ISBN:9784864450942
出版社:六一書房
判型:B5
ページ数:227ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2017年09月
発売日:2017年09月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPC