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小型化・集密化する電子デバイスを支える熱輸送・冷却技術の進化と新展開

他著:麓 耕二
他著:望月 正孝
他著:長野 方星

紙版

内容紹介

日進月歩で進化する小型電子デバイスを支える"サーマルマネジメント技術"を徹底解説。

 高性能化・軽薄短小化・データ通信の高速化と通信量の増加に伴い、スマートフォンやミニ基地局をはじめとする小型電子機器の高発熱量、高発熱密度化への対策技術に進化が求められています。今後の熱対策技術は「材料技術とデバイス技術、両者の融合」「旧来技術の見直しと再検討」「新しい熱輸送キャリアの発見」などにより、従来の熱輸送性能、熱伝達率を大きく超えていくことが必須となります。
 本書では、こうした『熱対策技術=熱輸送・冷却デバイスの小型・薄型・高性能化』に向けた研究開発の最前線情報をまとめました。

目次

第1章 小型化する電子デバイスと求められるサーマルマネジメント
    1. サーマルマネジメントについて
    2. サーマルマネジメントのための各種技術
     2.1 放熱材料
     2.2 熱エネルギー変換材料
     2.3 蓄熱技術と蓄熱材料
    3. 小型化・集密化する電子デバイスのサーマルマネジメント

第2章 ヒートパイプの開発動向
  第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向
    1. ヒートパイプの基礎
     1.1 原理,構造
     1.2 ヒートパイプの作動限界
      1.2.1 粘性限界
      1.2.2 音速限界
      1.2.3 毛細管限界
      1.2.4 飛散限界
      1.2.5 沸騰限界
     1.3 使用温度範囲
     1.4 作動流体・容器材料の適合性
     1.5 ヒートパイプの設計
      1.5.1 作動流体の選定
      1.5.2 容器の設計
      1.5.3 ウイックの設計
      1.5.4 ヒートパイプの熱設計(ヒートパイプの熱抵抗の算出)
     1.6 ヒートパイプの応用分野
    2. 超薄型サーマルソリューションの開発動向
     2.1 開発動向
     2.2 カーボングラファイトシート(Gr)
     2.3 超薄型ヒートパイプ(HP)
     2.4 超薄型ベーパチャンバー(VC)
     2.5 ループヒートパイプ(LHP)
     2.6 自励振動型ヒートパイプ(PHP)
    3. 等価熱伝導率(Keff)による薄型伝熱素子の総合評価

  第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向
    1. PHP の動作原理
    2. 各種パラメータによる熱輸送性能への影響
     2.1 流路形状とターン数(チャンネル数)
     2.2 作動流体の物性値と封入率
     2.3 設置姿勢と各種寸法割合
    3. PHP に関する既存の研究
    4. 研究事例の紹介
     4.1 従来型ヒートパイプと自励振動型ヒートパイプの比較
     4.2 小型PHP への挑戦
    5. 応用技術としての可能性

  第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向
    1. ループヒートパイプの概要
     1.1 ループヒートパイプの特徴
     1.2 ループヒートパイプの歴史
     1.3 ループヒートパイプの原理
    2. 研究開発動向ならびに研究開発事例
     2.1 高熱流束ループヒートパイプ
     2.2 超小型ループヒートパイプ
     2.3 大型ループヒートパイプ
     2.4 長距離ループヒートパイプ

  第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向
    1. ループヒートパイプ薄型化への期待
    2. 薄型ループヒートパイプの研究開発事例

  第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向
    1. 並列細管熱輸送デバイスとは
    2. 並列細管熱輸送デバイスの構造および熱輸送特性評価実験装置
     2.1 基本構造
     2.2 封入作動流体
     2.3 熱輸送特性評価実験装置
    3. 並列細管熱輸送デバイスの熱輸送特性
     3.1 封入率が熱輸送特性に与える影響
     3.2 形状・寸法が熱輸送特性に与える影響
     3.3 設置角度が熱輸送特性に与える影響
     3.4 作動流体の種類が熱輸送特性に与える影響
     3.5 内部流動の評価
     3.6 熱輸送量と内部流動の同時計測および流動様式の判別
    4. 並列細管熱輸送デバイスの応用

第3章 沸騰冷却技術の開発動向
  第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向
    1. Society5.0時代における冷却技術の必要性
    2. 半導体デバイスとその冷却技術の歩み
    3. 沸騰冷却技術の基本原理
     3.1 冷却電力削減を目指したプール沸騰方式
     3.2 超高熱流束除去を目指した強制流動沸騰方式
    4. 沸騰冷却技術の実用化に向けた課題
     4.1 気泡核生成とオーバーシュートの問題
     4.2 半導体デバイス温度低減のための熱伝達率の更なる向上
     4.3 最大冷却限界を決める限界熱流束
    5. 沸騰冷却技術の開発動向

  第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化
    1. 沸騰熱伝達促進技術
    2. 電気流体力(EHD)による体積力
    3. 冷媒の選定とダイヤモンド粒子電着によるプール沸騰熱伝達促進技術
    4. 電界印加によるプール沸騰熱伝達促進
    5. 電界印加によるサブクール流動沸騰熱伝達促進

第4章 磁性流体の開発動向
  第1節 磁性流体の基礎と開発動向
    1. 磁性流体の歴史
    2. 磁性流体の製法
    3. 特性と各種物性値
     3.1 磁性
     3.2 レオロジー特性
     3.3 特殊な性質を持った磁性流体
    4. 工業的応用とサーマルマネジメントデバイスへの利用
    5. 磁性流体を用いた熱輸送デバイスの今後

  第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向
    1. 磁性流体駆動式冷却デバイス
     1.1 背景
     1.2 磁性流体
     1.3 デバイスの構成
     1.4 駆動原理
     1.5 駆動性能の進化
     1.6 デバイスの性能
     1.7 想定される応用例
    2. 今後の応用開発
     2.1 磁性流体駆動式冷却デバイスのまとめ
     2.2 研究プロジェクト

第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向
    1. 序論
    2. EHD 流動
     2.1 動作原理
      2.1.1 絶縁性液体での電気伝導
      2.1.2 イオンドラッグポンプ
      2.1.3 コンダクションポンプ
      2.1.4 インダクションポンプ
      2.1.5 誘電泳動力
      2.1.6 液面上昇
      2.1.7 数元効果
     2.2 液単相流での応用
      2.2.1 イオンドラッグポンプの開発と温度依存性
     2.3 気液二相流での応用

第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術
    1. 表面フォノンポラリトン
    2. 熱伝導率と熱拡散率測定方法
    3. SiO2超薄膜の作製
    4. 熱伝導率と熱拡散率測定結果

第7章 5G 対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例
    1. 放熱の理由
    2. 放熱の激しい電子部品
    3. 放熱対策のバリエーション
    4. 放熱対策部材のバリエーション
    5. 5G 対応スマートフォンにおける放熱対策部材の事例
     5.1 エラストマー
     5.2 炭素黒鉛シート
     5.3 銅箔
     5.4 熱伝導パイプ(ベーパーチャンバー)
     5.5 スマートフォンを使ったライフスタイルの変化
    6. ミニ基地局における放熱対策部品の事例
     6.1 ミニ基地局とは
     6.2 基地局市場
     6.3 スモールセルが必要な理由
     6.4 ミニ基地局の概要
     6.5 ミニ基地局の中身
     6.6 放熱部材
     6.7 結論

ISBN:9784864282413
出版社:サイエンス&テクノロジー
判型:B5
ページ数:183ページ
定価:45000円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TJF