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いびつな「書の美」

日本の書がたどった二つの近代化

著:林淳

紙版

内容紹介

近代書の二大潮流である「革新派」と「伝統派」。
注目を浴び手厚い研究がされる「革新派」の一方で、等閑視されつづける「伝統派」。
このいびつな構造の背景には、近代以降の日本で評価されてきた「書の美」の偏りがある──。
本書では、伝統と革新という、書の持つ両端の芸術性を同時に描き出し、近現代の日本書道史をより広い視野から俯瞰するとともに、見過ごされてきた「伝統派」の実像に迫り、「書の美」の新しい地盤を開拓する。

目次

  序 論

[第一章]「革新派」による書の制作理念
  第一節 「革新派」登場に至るまで
  第二節 「革新派」の発言にみるそれぞれの制作思想
  第三節 井島勉の書道観とその問題点
  第四節 久松真一の禅芸術思想

[第二章]「伝統派」による書の制作理念
  第一節 「伝統派」の思想の整理
  第二節 書道史上における「伝統派」の位置づけ
  第三節 「伝統派」の背景にある思想
  第四節 西脇呉石の芸術書観

[第三章]書の評価
  第一節 書の評価と分類
  第二節 書を評価する語としての「韻」と「個性」  
  第三節 実際の作品評価

  結 論

著者略歴

著:林淳
1979年 岐阜県瑞浪市生まれ
2003年 京都大学文学部西南アジア史学専修卒業
2022年 広島大学大学院総合科学研究科博士課程後期修了
博士(学術)。専門は近代を中心とする書の芸術学。
国立民族学博物館及び京都国立博物館事務官、続いて勝山城博物館及びあわら市郷土歴史資料館学芸員を経て、2023年より公益財団法人京都文化財団に奉職。
著書に『近世近代の著名書家による石碑集成』『天爵大神福井をゆく』(以上、勝山城博物館)など。京都芸術大学非常勤講師。

ISBN:9784864051828
出版社:森話社
判型:A5
ページ数:392ページ
定価:4900円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFU