近代日本演劇の記憶と文化 4
交差する歌舞伎と新劇
編:神山 彰
紙版
内容紹介
伝統と前衛の錯綜
歌舞伎と新劇は、今では漠然と対立的に捉えられているが、実際には明治期以来、横断的な人的交流があり、相互に影響・補完しあう関係にあった。さらに新派や前進座、アングラなどもふくめた、近代演劇の複合的な展開を多角的に考察する。
彼らが追い求めた理想の演劇とは──。
目次
[Ⅰ総論]
第1章 横断的に見る歌舞伎と新劇 神山彰
[Ⅱ歌舞伎と新劇の複合]
第2章 演劇改良運動と川上音二郎の新演劇──『江戸城明渡』という問題領域 後藤隆基
第3章 黙阿弥と新歌舞伎のあいだ──「狭間」の作者たち 日置貴之
第4章 『漂流奇譚西洋劇』あるいは歌舞伎とメロドラマの出会い 堤春恵
[Ⅲ共有領域と中間領域]
第5章 花柳章太郎の新劇座―─新しい〈現代大衆劇〉を求めて 赤井紀美
第6章 小山内薫と晩年の偉人劇―─『森有礼』『戦艦三笠』『ムッソリニ』 熊谷知子
第7章 共有領域としてのプロレタリア演劇──前進座の誕生とその背景 正木喜勝
[Ⅳ演技と劇作と]
第8章 演技術から見る歌舞伎と新劇 笹山敬輔
第9章 表情をめぐる冒険―─明治時代末期、新旧俳優の挑戦と挫折 村島彩加
第10章 久保栄と岩田豊雄と歌舞伎―─新劇の劇作家とその歌舞伎観 大橋裕美
[Ⅴ戦後の転換点]
第11章 昭和三十年代の新劇と歌舞伎の間―─個人的回想 毛利三彌
第12章 新劇・アングラから見る歌舞伎―─一九七〇年前後を中心に 神山彰