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韓国文学の源流 短編選 2

オリオンと林檎

他著:朴花城
他著:李孝石
他著:金裕貞

紙版

内容紹介

2019年6月にスタートした韓国文学の源流シリーズは今回、短編選をスタートします。朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できる10巻です。現代韓国文学に親しみ始めた読者が、遡って古い時代の文学も読めるようにしたいと考えています。

短編10巻、各巻は6~10編の各時代の主要作品を網羅します。

各巻には小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、簡単な文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。



日本植民地時代の1930年代韓国は、プロレタリア文学とモダニズム文学との相克の時代。揺れ動く時代を背景に、若い男女の交友関係を軸に、社会運動にのめり込んでゆかざるを得ない暗い時代が描かれる。実りのない恋愛を通して強く自立した生き方を模索する愛と葛藤の日々が、読むものの心に深く響いてくる。



2021年8月上旬全国書店にて発売。

著者略歴

他著:朴花城
一九〇四~一九八八 全羅南道木浦(チョルラナムド・モクポ)に生まれる。本名は朴景順(パク・キョンスン)、号は素影(ソヨン)。木浦にある貞明(チョンミョン)女学校を経てソウルの淑明(スンミョン)女子高等普通学校を卒業。忠清南道(チュンチョンナムド)の天安(チョナン)と牙山(アサン)、全羅南道の霊光(ヨングァン)中学校で教師生活を送る。一九二五年に李光株(イ・グァンス)の推薦を受けて「秋夕前夜」で登壇を果たす。一九二六年、日本女子大学英文学部に入学するが、本格的に作家として執筆活動を始めたのは帰国後の一九三〇年代に入ってからだった。日本留学は朴花城の思想形成に大きな影響を与えた。一九三二年、「下水道工事」が李光株によって「東光(トングァン)」に再び推薦され作家活動を再開。その年、女性作家初の新聞連載小説として「白花」が「東亜日報」に掲載された。その後も一九三八年まで作品活動を続け、「崩れた青年会館」(三四)、「洪水前後」(三四)、「旱鬼」(三五)、「プルガサリ」(三六)、「故郷なき人々」(三六)など二十編あまりの小説を発表する。彼女の作品には一貫して現実告発の傾向が強くにじみ出ており、富…
他著:李孝石
一九〇七~一九四二 江原道平昌郡(カンウォンド・ピョンチャングン)に生まれる。号は可山(カサン)。京城第一高等普通学校を経て、一九三〇年京城帝国大学法文学部英文学科を卒業。一九三一年日本の恩師の口利きで朝鮮総督府警務局検閲係に一時就職するも、良心の呵責と周囲の非難により一カ月足らずで退職する。その後は妻の実家のある、咸鏡北道鏡城(ハムギョンプクド・キョンソン)に移り鏡城農業学校で英語教師、後に平壌の崇実(スンシル)専門学校教授として赴任する。教員をしながら文筆活動を行っていたこともあり、経済的には比較的余裕があったとされる。高等普通学校在学中の一九二五年「毎日申報」の新春文芸に詩「春」が選外佳作となるが、大学在学中の一九二八年雑誌「朝鮮の光」に短編「都市と幽霊」を発表したのが正式な文壇デビュー。初期の作品は「露領近海」(三一)「上陸」(三〇)「北國私信」(三〇)など、傾向文学の色合いが濃く、同伴者作家とも言われていた。一九三二年以後、純粋文学の世界に傾倒していき、作品には「オリオンと林檎」(三二)、「豚」「雄鶏」(三三)などがある。一九三三年には「九人会」結成の発起人の一人となり、完…
他著:金裕貞
一九〇八~一九三七 江原道春川(カンウォンド・チュンチョン)出身。富農の家に二男六女の七番目として生まれるが、両親の死後、兄の放蕩により家産が傾き故郷を離れる。十二歳の頃にソウルの齊洞(チェドン)公立普通学校に入学、一九二九年に徽文(フィムン)高等普通学校を卒業、その翌年に延禧(ヨンヒ)専門学校(延世大学校の前身)と普成(ポソン)専門学校(高麗大学校の前身)に進むがいずれも中退。その後は故郷に戻り、農村の立ち遅れた環境を改善するために夜学校を開設し農村啓蒙運動を展開するなか、一九三三年に「山あいの旅人」、「チョンガーとカエル」を発表し登壇を果たす。一九三五年、「朝鮮日報」と 「朝鮮中央日報」の新春文芸に「夕立」と「ノダジ(富鉱脈)」がそれぞれ当選し一躍注目を浴びる小説家となった。同年、朝鮮の文学親睦会である「九人会」に入り、既存の会員だった李箱(イ・サン)と知り合い共に文壇活動を行う。登壇から二年間で「金を掘る豆畑」(三五)、「春・春」(三五)、「椿の花」(三六)、「タラジ」(三七)など、約三十編の小説と十編の随筆を発表。純朴な故郷の風景や、登場人物のありのままの生きざまを風刺とユー…

ISBN:9784863854727
出版社:書肆侃侃房
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2021年09月
発売日:2021年09月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB