現代歌人シリーズ 2
耳ふたひら
著:松村 由利子
紙版
内容紹介
耳ふたひら海へ流しにゆく月夜 鯨のうたを聞かせんとして
潮鳴りや降り注ぐ雨は
身体の深いところへと浸みこみ
やがて豊かな流れとなって
あふれ出す。
その響きに耳を澄ますとき
新しい歌が聞こえる。
目次
Ⅰ
島時間
光と影
自由移民
停電の夜に
錆びてゆく
一回休み
TOKYO
秘祭
夜の舌
寒き魂
どこまでが春
Ⅱ
海への祈り
種子銀行
蝸牛神経
名を呼べば
石を孕む
水は巡る
夢の終わりの
鹿とザムザ
Ⅲ
寄留者
競馬日和
もう戻らない
天衣
悲は返すべし
雨待ちて
霖々と泣く
冷えゆく耳
あとがき