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精神科看護 2022年12月号(49-13)

認知症の人をケアする家族へのケア

編:『精神科看護』編集委員会

紙版

内容紹介

特集 認知症の人をケアする家族へのケア
 認知症の人の家族は,本人の心理症状や異常行動の理解ができず,混乱したり,その行動への反応を起こす。そのため,家族の心理的負荷の軽減を行う必要がある。そこで特集の冒頭記事では「家族のたどる心理的ステップ」という観点をとおして,認知症の人の家族への支援の1例を紹介する。現実の臨床では「心理的ステップ」はそれぞれの段階を行きつ戻りするため,その時々の適切なアセスメントが重要である。
 次の記事では,認知症ケアにおける家族支援を包括的に眺め,理念だけでは追いつかない(認知症)家族支援の現状を整理し,多職種協働による家族支援での看護師の役割について検討する。
 精神科訪問看護における認知症家族への看護を紹介する稿では,母親の介護と死別を経験した訪問看護の利用者への看護の1例を紹介する。母親を介護する役割を失った利用者の喪失感に寄り添いながら,利用者のその後の人生のなかで「楽しみを一緒に見つける」という支援は今後の地域における訪問看護の役割の一端を示すものだろう。
最後に紹介するこころのホスピタル町田の認知症ケアについての稿は,「精神科病院での認知症ケア」の“全力”がうかがえる。認知症の当事者が「いまこの瞬間の快」を感じられる空間づくりこそが,さまざまな感情をいだく家族の支援にもつながることを納得させられる。

目次

特集 認知症の人をケアする家族へのケア

認知症患者の家族への心理的援助
大塚恒子(一般財団法人仁明会精神衛生研究所 副所長/一般財団法人仁明会仁明会病院 看護部長)

認知症者の家族に本当に寄り添うための多職種連携のなかの看護師の役割
山川みやえ(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 准教授/公益財団法人浅香山病院)

精神科訪問看護における認知症家族への看護
久司満子(訪問看護ステーションアユース森ノ宮 主任)

患者の笑顔の向こうにある家族の心に寄り添って
―こころのホスピタル町田の認知症ケア
鵜飼由加里(医療法人社団天紀会こころのホスピタル町田 看護師長)


研究報告
精神科救急入院科病棟における看護についての文献検討
栗原淳子(目白大学看護学部看護学科 助教)


ANGLE
対象者の生きづらさを支える地域連携精神看護―多職種協働・連携(包括的ケア)
大津聡美(平塚市民病院 看護科長代理/リエゾン精神看護専門看護師)
境 美砂子(金城大学看護学部 講師)
一ノ山隆司(金城大学看護学部・公衆衛生看護学専攻科 学部長・専攻科長/教授)
千 英樹(富山福祉短期大学看護学科 准教授)


特別記事
リカバリー志向の支援へのパラダイムシフトをめざして 経過報告その1
春日飛鳥(社会医療法人加納岩日下部記念病院 教育課長/精神看護専門看護師)


実践レポート
看護学生の観察力とコミュニケーション力を育成する対話型鑑賞
奥原真仁(JA北海道厚生連旭川厚生看護専門学校 教員/旭川医科大学大学院高齢者看護高度実践コース 科目等履修生)
森永康平(獨協医科大学総合診療科 非常勤助教/MED AGREE CLINICうつのみや 院長/ミルキク 代表)


連載
日々のやりとりから始める認知行動療法
第2回 誰もがもっている考え方のクセ
細川大雅(ストレスケア東京上野駅前クリニック 院長)

訪問看護師さんへの手紙
第3通 ストレス耐性の脆弱性とその具体例
常本哲郎

精神科看護コミュニケーション 13
統合失調症患者とのコミュニケーション
川野雅資(心の相談室荻窪 室長)

学の視点から精神保健(メンタルヘルス)で地域をひらく33
33rd Step 精神保健面の地域アセスメント(4)
安保寛明(山形県立保健医療大学看護学科 教授)

どん底からのリカバリー―WRAP(R)を使って。
第37回 国連・障害者権利委員会が見た日本(2)
増川ねてる(アドバンスレベルWRAP(R)ファシリテーター)

坂田三允の漂いエッセイ  201
汽笛一聲新橋を~♪
坂田三允(多摩あおば病院 看護部顧問)

2022年『精神科看護』総目次

著者略歴

編:『精神科看護』編集委員会
金子亜矢子(一般社団法人日本精神科看護協会)
小宮浩美(千葉県立保健医療大学健康科学部)
佐藤恵美子(一般財団法人聖マリアンナ会東横惠愛病院)
木戸芳史(浜松医科大学医学部看護学科)
※2022年3月現在

ISBN:9784862942692
出版社:精神看護出版
判型:B5
ページ数:80ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2022年11月
発売日:2022年11月19日