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文脈的認知行動療法に基づいて専門医が教える 思春期の行動を引き出す対話法

著:細川大雅

紙版

内容紹介

 援助関係における対話のなかで言葉は,どのように機能するのでしょうか? 本書は相談場面(カウンセリング)における思春期クライアントとセラピストの対話をとりあげ,そこで交わされる言葉に着目し,その言葉がどのように思春期クライアントにポジティブあるいはネガティブな影響もたらすかをあきらかにしています。
 PART1で「思春期支援のエッセンス」と題して,思春期クライアントの特徴と思春期支援のゴール(とそのゴールに至る道筋),思春期支援において大切な概念・技法を紹介しています。PART2とPART3では,〈親に連れられてやってきた思春期のクライエント〉という同一のケースの「初回インテーク場面」を取り上げ,思春期支援の目標である「自分で考え,自分で行動できる」ための支援,つまり「自己理解」→「意思形成」→「意思決定」→「行動」までを伴走する,カウンセリング場面を紹介していきます。ここではセラピスト・クライアントの言動のもつ意味や機能を詳述しています。
 PART4ではあらためて,PART3で紹介した「カウンセリングの成功例」の重要局面をピックアップし,一連のやりとりのなかで展開された理論的背景を解説します。

目次

PART1 思春期支援のエッセンス
 思春期支援の特徴と心がまえ
 思春期支援にとってのゴールとそのゴールに至る道
 ・スタート地点
 ・ゴール地点
 ・ゴールへ至る道
 思春期支援にとって大切な概念・技法を知ろう
 ・共感とは何か? 共感するときの注意点は?
 ・不適応行動とは何か? どうしたら減らすことができるのか?
 ・強化とは何か? セラピストは何を強化すべきなのか?
 文脈とは何か? なぜ,内容ではなく文脈に目を向けるのか?

PART2 カウンセリングの実際(失敗編)
 自己理解・意思形成・意思決定・行動に導くカウンセリング(失敗例)
 1.導入前の声かけ(失敗例)
 2.導入(失敗例)
 3.問題認識を確認する(失敗例)
 4.道を探す(失敗例)
 5.道筋に沿って情報を収集(失敗例)
 6.現在の生活に焦点を当てる(失敗例)
 7.向かう方向を考える(失敗例)
 8.危機介入(失敗例)
 9.向かう方向に沿った道づくり(失敗例)
 後日談

PART3 カウンセリングの実際(成功編)
 自己理解・意思形成・意思決定・行動に導くカウンセリング(成功例)
 1.導入前の声かけ(成功例)
 2.導入(成功例)
 3.問題認識を確認する(成功例)
 4.道を探す(成功例)
 5.道筋に沿って情報を収集しながら価値観を描き出す(成功例)
 6.表面上の問題ではなく,本当の問題を探る(成功例)
 7.現在の生活に焦点を当てる(成功例)
 8.向かう方向を考える(成功例)
 9.危機介入(成功例)
 10.向かう方向に沿った道づくり(成功例)
 後日談

PART4 カウンセリングの理論的背景
 PART3(成功例)の重要局面を理論的に振り返る
 はじめに
 文脈における内容と機能
 文脈における選択的強化
 体験の回避
 価値および価値に基づいた行動

著者略歴

著:細川大雅
東京大学医学部卒・東京大学大学院卒(医学博士)
精神科専門医・精神科専門医指導医・精神保健指定医・産業医・学校医・公認心理師。
東大病院精神神経科,初石病院,内閣府,ハーバード大学医学部精神科研究員,土田病院副院長を経て,思春期発達専門のストレスケア東京上野駅前クリニックを東京都台東区に開業。帝京平成大学客員教授,思春期発達研究所所長。専門は思春期精神医学。
思春期のまま人生を終えた弟と,思春期も迎えられなかったもう1人の弟のことを考えながらも,「いま,ここ」にいる中学生と高校生の思春期の娘2人の言葉に耳を傾ける日々を送っている。

ISBN:9784862940728
出版社:精神看護出版
判型:B5
ページ数:120ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM