地球見
著:春日いづみ
紙版
内容紹介
月刊誌「短歌研究」に連載した作品を中心に編んだ第五歌集。
この時期、『聖書』の翻訳というかけがえのない仕事に携わり、また、長く関わった岩波ホール閉館に衝撃を受ける。
社会の大きなうねりの中で、著者は自身と世界を静かに見つめ続ける。
(収録歌より)
安全はいづこにもなく明日昇る太陽だけが標(しるべ)と思ふ
クルド語の映画にサヌレとふ女の子その名「国境」の意味と知りたり
掌(てのひら)に載るほど小さき男の像 戦争は人を縮めゆくもの
絵本には地球見をする家族をり三十年後の月の暮しに
廃墟画はなぜに美し森閑と雲をわかせてひかり満ちをり
何待つか知らねど今宵は前夜なりさやゑんどうの筋を剝きつつ
目次
明日昇る
もやもや重い
イエスの産声
よいほん
歴史に非ず
歩く男
地球見
保育園の影となる土
「聞け」
民衆の歌 題詠「音」
酷熱氷寒
「あなたに、話がある」
ディスタンス
六点の星
フリーランス
魔王
Pacem
春のこゑ
岩波ホール閉館
エキプ・ド・シネマ
これから見る人
あとがき